上司が発してはいけない油外販売のモチベーションを下げる言葉

戦略の考え方

 多くのガソリンスタンドの店長は、油外商品の販売による収益確保に追われています。そこで、ある店長は入社してだいぶ仕事に慣れてきた部下に、オートマチックトランスミッションフルード(ATF)交換の作業方法を教えました。 

 オートマチック車のミッションには、ATFという液体が入っており、これが劣化すると変速時のショックが大きくなったり、燃費が悪化したりします。そこで、一般的には20,000km走行毎に交換したほうが良いと言われています。

 この店長は、その部下にATF交換をマスターさせるために、店長自身の車を使って交換作業を教え、終了後に自身の車で店内を一周し、運転席から降りてきて言いました。
 「変速時のショックが和らぎ、とてもスムーズになったよ」

 お世辞にも広いとは言えない店内の敷地を1周して、果たしてギアチェンジが行われるほどのスピードが出たのでしょうか。このスタッフは、店長の言葉に大きな違和感を抱いたと言います。この店長の言葉の裏には、作業結果を賞賛して、販売のモチベーションを上げたいという想いが透けて見え、却って部下のモチベーションを下げてしまうリスクがあります。

 今回のコラムでは、この事例を受け、部下のモチベーションを下げないための言葉掛けを見ていきます。

1.油外販売のモチベーションを下げてしまう働きかけ

(1)行動を認めず、評価を下す

 「パフォーマンス・キラー」とは、コーチングで用いられる用語で、組織メンバーを激励し指導しようとしているつもりでも、メンバーのモチベーションを下げたり、自信を喪失させたりしている関わりのことを言います。

 このパフォーマンス・キラーの1類型として「メンバーの行動を認めず、評価を下す」があり、これはさらに以下の4つの類型に分けることが可能です。

 (1)批評:物事の是非・善悪などを指摘して、自分の評価を述べる。「だからあなたはダメなんだよね」
 (2)分析:発言を要素に分け、その構成などを明らかにする。「つまり君の意見は、〇〇という意味になるよね」
 (3)レッテルを貼る:メンバーを個として認めないコメントをする。「いかにも、経理畑出身の意見だね」
 (4)賞賛:表面的な納得感の無い賞賛。その場限りのおべんちゃら。「頑張ってるねー」

 前述の店長の言葉は、「1.メンバーの行動を認めず、評価を下す」の「(4)賞賛」に該当するでしょう。

(2)事実を伝えず賞賛をしてしまう

 どんな時でも賞賛をしてはいけないというわけではありません。時と場合によっては、賞賛が大きな効果をもたらすことも大いに考えられます。ですが、上記の店長のように、あからさまに見え透いた賞賛は、却って部下のモチベーションを下げてしまうことを知っておく必要があります。

 モチベーションを上げるには、まず、それを下げないようにした上で、モチベーションを上げる働きかけをする必要があります。そのためには、賞賛ではなく、承認をすることがポイントとなります。承認するには、承認できる成果を出してもらう、もしくは、成果を見つける必要があります。


 具体的には、ATF交換の作業方法だけでなく、それらの販売方法を教え、顧客への声掛け数や、販売実績を承認する、ということです。

 上司が発してはいけない油外販売のモチベーションを下げる言葉として、表面的な納得感の無い賞賛、その場限りのおべんちゃらがあり、それらを知っておくことにより、無駄にモチベーションを下げることがなくなるでしょう。

2.賞賛とモチベーションに関する参考コラム

 ■大手ロードサイド店が行う福利厚生と中小企業が行うべき福利厚生
 ■年上の部下への対応
 ■「認める」と「褒める」の違い

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