上司が発してはいけない油外販売のモチベーションを下げる言葉

戦略の考え方

部下にATFを売らせたい店長

 多くのガソリンスタンドの店長は、油外商品の販売による収益確保に追われています。そこで、ある店長は、入社してだいぶ仕事に慣れてきた部下に、ATF交換の作業方法を教えました。 

 オートマチック車には、オートマチックトランスミッションフルード(略してATF)という液体がミッション内に入っており、これが劣化すると変速時のショックが大きくなったり、燃費が悪化したりします。そこで、一般的には20,000km走行毎に交換したほうが良いと言われています。

 この店長は、店長自身の車を使って、ATF交換をさせ、作業終了後に自身の車で店内を一周し、運転席から降りてきて言いました。
 「変速時のショックが和らぎ、とてもスムーズになったよ」

 お世辞にも広いとは言えない店内の敷地を1周して、果たしてギアチェンジが行われるほどのスピードが出たのでしょうか。このスタッフは、店長の言葉に大きな違和感を抱いたと言います。
 この店長の言葉の裏には、作業結果を賞賛して、販売のモチベーションを上げたいという想いが透けて見えます。

パフォーマンス・キラー

 何度かこのコラムで取り上げている、パフォーマンス・キラーですが、これは、コーチングで用いられる用語で、組織メンバーを激励し指導しようとしているつもりでも、メンバーのモチベーションを下げたり、自信を喪失させたりしている関わりのことを言います。

 このパフォーマンス・キラーには次の3つの類型があるとされています。

 1.メンバーの行動を認めず、評価を下す
 2.メンバーの意見を受け止めず、問題解決に走る
 3.メンバーや問題に向き合うことなく、逃避する

 上記3類型のうち、「1.メンバーの行動を認めず、評価を下す」は、さらに以下の4つの類型に分けることが可能です。

 (1)批評:物事の是非・善悪などを指摘して、自分の評価を述べる。「だからあなたはダメなんだよね」
 (2)分析:発言を要素に分け、その構成などを明らかにする。「つまり君の意見は、〇〇という意味になるよね」
 (3)レッテルを貼る:メンバーを個として認めないコメントをする。「いかにも、経理畑出身の意見だね」
 (4)賞賛:表面的な納得感の無い賞賛。その場限りのおべんちゃら。「頑張ってるねー」

 前述の店長の言葉は、「1.メンバーの行動を認めず、評価を下す」の「(4)賞賛」に該当するでしょう。

賞賛の功罪

 どんな時でも賞賛をしてはいけないというわけではありません。時と場合によっては、賞賛が大きな効果をもたらすことも大いに考えられます。ですが、上記の店長のように、あからさまに見え透いた賞賛は、却って部下のモチベーションを下げてしまうことを知っておく必要があります。

 モチベーションを上げるには、まず、それを下げないようにする必要があります。そして、賞賛ではなく、承認をすることです。承認するには、承認できる成果を出してもらう、もしくは、成果を見つける必要があります。
 具体的には、ATF交換の作業方法だけでなく、それらの販売方法を教え、顧客への声掛け数や、販売実績を承認する、ということです。

 上司が発してはいけない油外販売のモチベーションを下げる言葉として、表面的な納得感の無い賞賛、その場限りのおべんちゃらがあり、それらを知っておくことにより、無駄にモチベーションを下げることがなくなるでしょう。

賞賛とモチベーションに関する参考コラム

 ■大手ロードサイド店が行う福利厚生と中小企業が行うべき福利厚生
 ■年上の部下への対応
 ■「認める」と「褒める」の違い

メルマガ会員様募集中

 メルマガ会員様には、リアル店舗の現場経験20年以上、コンサルティング歴10年以上【通算30年以上のノウハウ】を凝縮した【未公開のコラム】や、当サイトに掲載したコラムの【解説動画URL】を優先的に配信しています。
登録はこちらから
↓↓↓

ロードサイド経営研究所メールマガジン登録フォーム(無料)

電子書籍のご案内

 1年で70人のアルバイトに辞められたガソリンスタンド店長が人材に全く困らなくなった理由:育成編~人材が育つ職場と人材に見放される職場の境界線~
2020年3月15日発行 定価1,055円

タイトルとURLをコピーしました