コンビニのビールと焼き鳥の提供方法の違いがもたらす3つの差

リピーターの確保

 あるコンビニA店で焼き鳥2本(両方ともタレ)と缶ビールを買いました。レジのスタッフは「温めますか?」と私に訊き、2本の焼き鳥を専用の紙袋1枚に入れ、レンジで温め、冷えたビールと一緒にコンビニのポリ袋に入れて渡しました。

 別の日に、あるコンビニB店で焼き鳥2本(両方ともタレ)と缶ビールを買いました。レジのスタッフは「温めますか?」と私に訊き、2本の焼き鳥を専用の紙袋1枚に入れ、レンジで温め、コンビニのポリ袋へ入れました。そして、冷えたビールは別のポリ袋に入れて渡しました。

 また、違う日に、あるコンビニC店で焼き鳥2本(両方ともタレ)と缶ビールを買いました。レジのスタッフは「温めますか?」と私に訊き、2本の焼き鳥を1本ずつ専用の袋に入れ、レンジで温め、コンビニの袋に入れました。そして、冷えたビールは別のポリ袋に入れて渡しました。

 今回のコラムでは、この3つのコンビニにはどのような差があるのか、それが売上や利益にどう影響するのかを見て行きます。

提供方法の違いがもたらす差1:コスト

 このA店、B店、C店で私に対応したスタッフがもたらした物理的な差は、焼き鳥専用の袋とポリ袋の消費枚数です。
 A店は、焼き鳥用の袋1枚、ポリ袋1枚、
 B店は、焼き鳥用の袋1枚、ポリ袋2枚、
 C店は、焼き鳥用の袋2枚、ポリ袋2枚です。

 A店の袋の消耗が一番少なく、コスト面では有利になります。1枚1枚は僅かなコストでも、1年、数年と積み重なっていくと大きな差になります。ですが、もっと積み重ねるべきことがあります。

提供方法がもたらす差2:顧客満足度

 A店は、紙袋に入れた温かい焼き鳥と冷たいビールを1枚のポリ袋に入れたので、焼き鳥は冷め、ビールは温くなります。

 B店は、A店がもたらしたデメリットはありませんが、2本の焼き鳥を1枚の紙袋に入れたので、焼き鳥に絡んだタレが、もう一方の焼き鳥串の手に持つ部分に付いて、食べる際に串を持った手が汚れます。

 C店は、A店・B店がもたらしたデメリットがありません。特に、紙袋には切り取り線がついていて、そこを切って開封しますが、切った袋部分で串を包んで持つことができ、手が汚れません(そのように使って下さいという記載が袋にあります)。

 これにより、顧客満足度に大きく差が付くこととなります。味も価格も大差がないので、焼き鳥とビールを再度買うなら、C店で買う可能性が高まります。それが積み重なると顧客は固定化し、C店に袋のコスト以上の大きな利益をもたらすでしょう。

提供方法がもたらす差3:他の商品の売上高

 C店がA、B店より優れているのは、想像力です。このビールと焼き鳥を飲食する際に、どうやったら、より美味しく、より快適に飲食できるのか、という買った後の行動を想像することができている、ということです。

 「ハロー効果」は、ある特定の事象が全体の事象の評価に影響を与えることを言います。なお、ここでの「ハロー」はHello(こんにちは)ではなく、Halo(後光)を指します。 

 焼き鳥とビールを買った際に、気の利く対応をしてくれたという評価は、他の商品を購入する際も気を利かせた対応をしてくれるだろう、という評価に結び付きやすくなります。結果として売上が向上しやすくなる、ということです。

 今回のコラムでは、3つのコンビニエンスストアにおけるビールと焼き鳥の提供方法の違いがもたらす差として、1.コスト、2.顧客満足度、3.他の商品の売上高、を挙げました。

 コンビニエンスストアに限りませんが、退店後の顧客の行動を想像し、その行動による満足度が高まる取組みが繁盛店の秘訣となります。顧客の退店後を想像してみましょう。

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