雑貨店の経営者が権威をかざさず人を動かすために発する質問とは

経営の姿勢

多能工化を推進したい小売店舗

 「部門の垣根を超えて広い視野を持って仕事をして欲しい」
 当社がご支援している雑貨店の次期経営者が頻繁に口にする言葉です。他品種を扱う同店にとって、かつてのように商品別に担当者を配置して専門性を発揮するよりも、人材不足の中、他部門も担当できる多能工化を進めていきたいとのこと。

 「広い視野を持って接客するように」「他部門にも目を配るように」と言い続けているとのことですが、どうも部下の方々は次期経営者が期待するレベルにまで達せず、うまく動いてくれていない模様です。

広い視野を持つ人がとる行動とは

 まず、「広い視野を持つ」ことによりどのような行動を期待しているのかを明確にします。例えば「広い視野を持つ」店舗スタッフに期待する行動は「他部門の商品を買いに来た顧客の接客ができる」だとします。

 その上で以下の質問をします。
 「あなたが、他部門の商品を買いに来た顧客の接客ができるようになるために、経営者である私ができることは何ですか」

 回答に時間がかかるようであれば持ち帰っていただき、翌日に回答を求めて良いでしょう。

遅刻がなくなった事例

 ある店長は、とても仕事ができる反面、遅刻が多いスタッフに手を焼いていました。そこで、「あなたが遅刻をしないために、店長である私ができることは何ですか」と問いかけました。

 回答を考えるそのスタッフは「目覚まし時計が止まっていることが多いんですよね」と漏らしました。
 そこでその店長は、目覚まし時計を買ってきてそのスタッフにプレゼントしたところ、翌日から遅刻が皆無になったとのことです。

 目覚まし時計が勝手に止まっていることが遅刻の原因であるならば、それを解決するのが店長である自分ができること、という判断から起こした行動でした。

 「広い視野を持って接客するように」「他部門にも目を配るように」という指示は、その行動における主導権は部下にあります。これに対して「あなたが、他部門の商品を買いに来た顧客の接客ができるようになるために、経営者である私ができることは何ですか」という投げかけは、その行動における主導権は自分にあります。よって、解決策を実施したか否かは自分が判断できるのです。

 期待する行動を部下に丸投げせず、積極的に関わっていく経営者こそ、人を動かすことのできる経営者と言えるでしょう。

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