ポジティブな言葉で従業員定着率を高める！

１．ポジティブな言葉の力

　※当記事は2020年８月23日にメルマガで配信した記事に加筆修正をしたものです。弊社LINEのおともだちに登録されると、このような経営に関する記事が原則週1回ペースで配信されます。

　私は日傘を使用しています。年々増加している印象のある「日傘男子」というやつですが、日傘を差して外出していると「男子」と呼ばれる年代の方々は、あまり日傘を差していないことに気付きます。

　にもかかわらず「日傘男子」という名称が流通しているのは、「男子」という言葉の響きにポジティブさを感じさせるからです。日傘を差す男性を「日傘おじさん」と呼んだら日傘を差す方は少なくなってしまうのではないでしょうか。

　「山登りおばさん」ではなく「山ガール」、「おばさん飲み会」ではなく「女子会」という例もありますが、ポジティブな言葉はポジティブな結果をもたらす可能性を高めます。

　ところで、先に何かを見た後の行動に対して、先に見たものが影響を与える現象をプライミング効果というものがあります。この実証実験がニューヨーク大学で行われました。

　学生をいくつかのチームに分け、各チームに単語が書かれたカードを数枚配布し、それを基に短い文章を作ってもらいます。そのうち、あるチームにだけは「しわ」「杖」「白髪」「腰痛」など高齢者をイメージさせる単語を混ぜ、その上で各チームは短い文章を作成しました。

　その後、この学生メンバー全員に、別の場所へ歩いて移動してもらいました。その結果、高齢者をイメージさせる単語を混ぜたチームのメンバーは、他の学生よりも歩く速度が遅かったという結果が出ました。これは、行動を起こす前に触れた言葉が、その後の行動に影響を及ぼすことを示しています。

　さて、ガソリンスタンドの経営者が抱える悩みのひとつに、人材不足がありますが、これには様々な要因が関係しています。この悩みを解決するために、ガソリンスタンドの経営者は、ポジティブな言葉を使うことで、前述のプライミング効果を得て、従業員の定着率を高めることが可能となります。

　具体的には以下のように一見ネガティブであってもポジティブに言い換えるということです。

　このように、経営者がポジティブな言葉を発していると、自身の行動もポジティブなものになっていきます。それは、現場スタッフに活力を与え、モチベーション向上に繋がっていきます。

　アメリカの社会心理学者、ハーズバーグ氏は実証研究によって、給与や人間関係よりも、承認や仕事そのものの方が、モチベーションの向上に寄与することを示しました。経営者が従業員の言動を承認し、仕事そのものに活力を与える発言をすることが、従業員の退職を防止するとも言えます。

　なぜ人材不足になったのかと言うと、既存のスタッフが辞めたからですので、新規のスタッフを募集する前に、辞めたくなくなる職場にして、既存のスタッフの定着率を上げる必要があるということです。これをしないと、新規スタッフが入社しても早期退職するリスクが大きくなります。

言葉の力は大きいです。ポジティブな言葉はポジティブな結果を生み出す可能性が高く、これは「日傘男子」や「山ガール」などの例からも明らかです。また、先に見た言葉や情報が行動に影響を与えるプライミング効果も示唆されています。

ポジティブな言葉は、行動や結果にポジティブな影響を及ぼす可能性があります。ガソリンスタンドの経営者は、ポジティブな言葉を使うことで、従業員の定着率を高めることが可能です。

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