タイヤの空気圧点検を有料化したガソリンスタンドの悲劇とは

戦略の考え方

タイヤの空気圧点検を有料化したきっかけ

 そのガソリンスタンドは、それまで店舗スタッフが給油や窓拭きを行うフルサービス形態でしたが、店舗スタッフは給油のみ、窓拭きなどは顧客が行うセミセルフサービス形態に転換しました。

 店舗スタッフではなく顧客が給油をするセルフサービス形態に転換すると、改装費用がかかりますが、給油を店舗スタッフが行うのであれば、改装費用はほとんどかからないこと、給油のみのサービス提供なので配置するスタッフ数も少なくて済み、人件費負担が軽くなる、というのがセミセルフサービス形態に転換した理由でした。

 これと同時に、タイヤの空気圧点検をセルフサービスとしました。そして、これまで無料だった店舗スタッフが行うタイヤの空気圧点検は1台100円に有料化しました。これは、少ないスタッフ数の中、スタッフが作業をするなら、それに見合う対価を設定しようという考えがありました。

有料化したタイヤの空気圧点検がもたらしたもの

 タイヤの空気圧点検を有料化したことにより、店舗スタッフに空気圧点検を依頼する顧客は、ほぼゼロになりました。反面、タイヤの空気圧点検を顧客自身が行うので、その作業方法を教えて欲しいという要望が激増し、作業方法を教え、フォローするというスタッフの負担が増加しました。

 そして、タイヤの販売数量が激減しました。それまでは、タイヤの空気圧点検を無料で店舗スタッフが実施していたため、摩耗や劣化したタイヤをスタッフが見つけ出し、顧客へ交換のお勧めができました。ですが、この店舗スタッフによる点検作業は、顧客が100円を支払わない限り、行うことができなくなり、このガソリンスタンドの客単価は大きく下落してしまいました。

なぜタイヤの空気圧点検をスタッフがするべきなのか

 タイヤの空気圧点検を行うことは、空気圧だけの点検に留まらず、タイヤの摩耗・劣化状況を点検することとなります。それは、タイヤを販売する機会を得る、ということです。

 タイヤはガソリンスタンドが扱う商品の中でも高額の部類に入ります。よって、タイヤを大量販売する店舗は客単価が高く、収益性も比較的良好だと言えます。そこで、収益性を向上させたいのであれば、タイヤの空気圧点検は店舗スタッフが行う必要があると言えるでしょう。

 タイヤの空気圧点検を有料化したそのガソリンスタンドの経営判断は、目先のコスト削減のみに目が向き、顧客満足の視点を欠いたものであり、結果として収益性を低下させてしまうという悲劇を生んでしまったのです。

 ガソリンスタンドに限りませんが、セルフサービスを導入しているロードサイド店舗では、なぜその作業は顧客が行った方が良いのか、その作業を店舗スタッフが行うことで顧客満足度が向上し、収益性に繋がるのではないか、という発想で今一度検証してみてはいかがでしょうか。

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