1.経営革新計画の売上・利益計画の立て方【中古トラック販売店の事例付き】
一部大手企業の不正により、中古車販売業界は風評被害を受け、業績が厳しくなっていますが、かつて、ある中古トラック販売店は、経営革新計画を作成・実施することで、業績を回復させました。そこで、同社を事例として取り上げ、経営革新計画の作成方法を解説していきます。
今回は、当該計画書に記載した同社の「売上・利益計画」について述べていきます。なお、経営革新計画の制度については以下の記事をご参照ください。
■「売上・利益計画」の必要性
「経営革新計画」の承認制度は、中小企業が取り組む新たな取組みを応援するための制度です。承認条件として「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」と「給与支給総額」の伸び率が設けられており、どちらもクリアしなければなりません。この数値を算出するにあたり「売上・利益計画」を立案します。
また、「売上・利益計画」の立案を通じて、将来の売上高や利益を予測することで、将来の事業展開に向けた戦略を立てることができます。また、数値目標を設定することができるため、事業の成長を促進することも可能になります。次に、具体的な「売上・利益計画」の内容を見ていきます。
■「売上・利益計画」の内容
同社は経営革新事業の計画期間を3年で考えましたので、3年分の予想損益計算書を「売上・利益計画」としました。なお、損益計算書は以下の項目から構成されます。
- 収入:売上高、営業外収益、特別利益
- 支出:売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失、法人税等
- 利益:売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益
損益計算書は、これらの項目を上から順番に並べて数値を盛り込んでいきます。そして、今後の予想を反映したものが予想損益計算書になります。
同社は、売上高、売上原価、販売費及び一般管理費について既存事業と新規事業に切り分けて記載し、営業利益以降の項目は既存・新規事業の合計を記載しました。そして、各項目の数値を考える際には、以下で述べるポイントがあります。
■「売上・利益計画」のポイント
「売上・利益計画」を立案する際に重要なことは、その数字の根拠です。
同社の場合、売上高であれば、既存事業分は現状の見込みや期待できる伸び率、新規事業分は見込まれる客数と客単価を根拠として用いました。売上原価であれば、既存事業分は現状の売上高対売上原価率を用い、新規事業分は見込まれる売上高対売上原価率を用いました。
このように、根拠を示すことで計画の有効性が高まると言えるでしょう。
■まとめ
経営革新計画の売上・利益計画を立てる際には、根拠を示すことが重要です。既存事業と新規事業に分けて、それぞれの売上高や売上原価、販売費及び一般管理費を予想し、その根拠を明確にすることで、計画の有効性が高まります。また、売上・利益計画は、経営革新を成功させるための指針となるものです。しっかりと作成し、実行していくことが、業績の向上につながるでしょう。
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