ガソリンスタンドの油外収益アップの鍵は詭弁対策?店長会議を成功させるヒント

コラム

■詭弁とは何か?

  詭弁(きべん)とは、道理に合わないことを強引に正当化しようとする弁論や、外見や形式をもっともらしく見せかけた虚偽の論法のことです。詭弁は、自分の意見に反対する相手を言い負かしたり、自分の責任を逃れたりするために使われることが多いです。しかし、それは議論を混乱させるだけでなく、問題の解決には全く役に立ちません。

 京都大学の研究者らが、2015年5月17日に行われた大阪市特別区設置住民投票、いわゆる「大阪都構想」に関する政治家の発言における詭弁の頻度や種類を調べました。研究者らは、大阪都構想に賛成と反対の立場を代表する2人の政治家のTwitterとテレビ討論番組での発言を分析しました。

 その結果、賛成派の政治家の発言には、反対派の政治家の発言と比べて、約34倍もの詭弁が含まれていることが分かりました。この研究は、国民が政治家に投票する際、詭弁にだまされて悪い政策を選んでしまうことがあるということを示唆しています。

■ガソリンスタンドの店長会議における詭弁

 さて、ガソリンスタンドの店長会議では、洗車やタイヤなどガソリン以外の商品である、油外商品の収益向上など、重要な課題について議論します。しかし、議論の中で、詭弁という不正な論法が使われることがないでしょうか?これにより、身のない会議になっていないでしょうか?

 そこで、今回の記事では、私がガソリンスタンドの店長を13年間務め、会議に出席した経験を踏まえて、代表的な詭弁を挙げ、その対応について説明を加えていきます。なお、当記事では、ガソリンスタンドの店長会議を例にしていますが、他の業種の会議だけでなく、日々のコミュニケーションにも役立つ内容ですので、最後までご覧ください。

■「早まった一般化」とは?

 店長会議の場で、ある店長がこのように発言しました。

「先日、顧客にオイル交換をお勧めしたら、他店の方が早いし安いと言われました。だから、当店の油外収益が上がらないのです」

 これは「早まった一般化」という詭弁に該当します。「早まった一般化」とは、少数の事例や個別の事実から、全体についての一般的な結論を導こうとする論法です。

 この発言は、ある顧客の発言をもとに、全ての顧客がそう思っているかのように決めつけ、油外収益の獲得が厳しい要因としています。しかし、少ないサンプルで全体を断定することは、誤った判断や決定につながる危険があります。

 次に、別の詭弁を見ていきます。

■「論点のすり替え」とは?

 油外収益をいかに上げていくかという議題の店長会議の場で、ある店長がこのように発言しました。

「当店の油外収益が不振なのは、アルバイトスタッフが不足しており、顧客に声を掛ける余裕が少ないからなんです」

 これは「論点のすり替え」という詭弁に該当します。「論点のすり替え」とは、議論の中心となる問題点にそぐわない意見になってしまっているというものです。相手の主張とは関係のないことを持ち出したり、自分の立場や感情を訴えたりして、本来の論点から逸らそうとする論法です。

 また、店長ではなく経営者が用いがちな詭弁を次で紹介します。

■「ストローマン」とは?

 会議の場で経営者が、参加している複数の店長に対して、このように言いました。

「君たち店長が、油外収益を稼ぐのが厳しいと言っているのは、油外商品の販売に積極的になろうとしていないからだ」

 この発言では、油外収益を稼ぐのが厳しいと言っている店長の意見を、油外商品の販売に積極的になろうとしないという悪意のある解釈に歪めています。これは、実際に存在しないものを攻撃することから、藁人形を意味する「ストローマン」と言われます。

 このような詭弁に用いられる論法を知っておくことで、「それって詭弁なのでは?」という意識を持つことができます。最初はその詭弁に反論できずとも、その意識を持ち続けることは、その論法に惑わされず、不要な議論に巻き込まれることが防止できます。

 また、議長としては、議論のテーマから逸れた会議になることを防ぎ、会議に費やす時間を有効なものにすることが可能になります。では、上記の詭弁への対応を見ていきましょう。

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