中古トラック販売業の経営革新計画のポイント:自社の外部環境分析

コラム

1. 中古トラック販売業の経営革新計画のポイント:自社の外部環境分析

 一部大手企業の不正により、中古車販売業界は風評被害を受け、業績が厳しくなっていますが、かつて、ある中古トラック販売店は、経営革新計画を作成・実行することで、業績を回復させました。

 そこで、同社の経営革新計画を事例として取り上げ、経営革新計画の作成方法を解説していきます。今回は当該計画書内「当社の外部環境」について述べていきます。

 なお、経営革新計画の制度については以下の記事をご参照ください。
https://note.com/roadside/n/nfde99d1c5c85
https://note.com/roadside/n/n993fc8a1f7eb

■経営革新計画「当社の外部環境」分析の重要性

 経営革新計画作成の際に外部環境を分析することは、非常に重要です。外部環境分析は、企業が置かれている競合環境や市場環境などの事実を把握することで、経営戦略を策定するための資料となります。

 また、外部環境分析は、自社の強みや弱みを把握するための重要な手段でもあります。強みは競合より優れている経営資源ですし、弱みは競合より劣っている経営資源ですから、競合環境がどのような状況にあるかを分析することで、比較することが出来、自社の強みや弱みを正確に把握することができます。

 さらに、外部環境は常に変化しているため、定期的に分析を行うことで迅速に対応することが可能になります。例えば、顧客ニーズや市場動向の変化、法制度の改正などが発生した場合、適応するための戦略を立てることができます。

 同社は「当社の外部環境」として(1)競合他社の状況、(2)顧客の状況、(3)その他、という見出しを設けて記載しましたが、具体的にどのような手順を踏んで、何を記載したのでしょうか。

■経営革新計画「競合他社の状況」の記載内容

 同社は、自店から車で30分圏内にある中古トラック販売店をリサーチし、競合他社を洗い出しました。そして、競合他社の商品やサービスの特徴、販売戦略、サポートなどの特徴をリサーチしました。

 これを踏まえて同社は、競合の社名、住所、URL、特徴をまとめた一覧表を作成し、経営革新計画に盛り込みました。

■経営革新計画「顧客の状況」の記載内容

 同社は、顧客の状況として、トラックを使用する運送業者の仕事量、トラックの整備状況と増車・買い替え需要について述べました。

 まず、 トラックを使用する運送業者の仕事量に影響を与えた要因をまとめました。新型コロナウイルス感染症の影響によってカラオケ・居酒屋などが営業を自粛し、そのような業界向けの配送量が激減してしまったこと、反面、食品スーパーやネット通販を利用する個人への配送量は増加したことを述べました。

 次に、トラックの整備や増車・買い替え需要についてまとめました。前述のとおり、カラオケ・居酒屋向けに配送する業者は仕事量が減っていましたので、増車・買い替え需要は高くなく、現在使用しているトラックの整備関連の需要は増加していることを述べました。

 そして、食品スーパーやネット通販を利用する個人へ配送する業者は仕事量が増加していましたので、増車・買い替え需要は大きくなっていることを述べました。

■経営革新計画「競合・顧客以外の状況」の記載内容

 中古トラックを販売する同社にとって、外部環境は、競合と顧客だけではありません。例えば以下が挙げられます。

  • 技術・産業環境:近年、トラック業界では、自動運転や電動化などの技術革新が進んでいます。自動運転トラックが普及すると、トラックの運転手不足が解消され、人件費の削減につながる可能性があります。また、電動トラックが普及すると、CO2排出量の削減に貢献できる可能性があります。
  • 社会・文化環境:少子高齢化により、労働力人口が減少すると、トラックの運転手不足が深刻化する可能性があり、トラックの需要に影響を与えることが考えられます。また、都市化の進展により、トラックの交通量が増加し、環境問題や交通渋滞などの課題が発生する可能性があります。

 これらの外部環境も分析することで、中古トラック販売業として直面する課題や、経営革新の方向性をより明確にすることができます。

 同社の場合は、環境規制強化により、ディーゼル車の排気システムにトラブルが発生し、高額な部品交換が必要となっていることを示しました。

■経営革新計画「当社の外部環境」のまとめ

 外部環境分析は、企業が置かれている市場環境や競合環境などの事実を把握することで、経営戦略を策定するための資料となります。また、外部環境は常に変化しているため、定期的に分析を行うことで迅速に対応することが可能になります。

 今回取り上げた中古トラック販売店は、競合他社の状況、顧客の状況、その他(技術・産業環境、社会・文化環境)の3つの観点から外部環境を分析しました。外部環境分析は、経営革新計画の作成において重要な一歩です。自社の強みや弱み、課題を把握するために、外部環境を十分に分析することが大切です。

 本記事で解説した内容を参考にして、自社の経営革新計画「自社の外部環境」を記載してみてはいかがでしょうか。

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