性的同意アプリ「キロク」の問題点からガソリンスタンドの接客を考えてみた

コラム

■「キロク」の問題点

 「キロク」は、性犯罪の法律が変わったことに合わせて作られました。性行為の前に、相手から同意を得たことを記録に残すことができます。このサービスは、2023年12月14日からWebサービスとして正式に提供が開始されました。

 しかし、このサービスは問題点も指摘されています。その例として、以下が挙げられます。

  • 相手に無理やり登録させて、同意を得たと見せかけることができるかもしれない。
  • 後で相手の気が変わって、同意を取り消すことができるかもしれない。

 「キロク」の目的は、性犯罪の法律改正に対応して、性行為の同意を明確にすることです。しかし、同意の記録だけでは、お互いの信頼関係を築くことは困難です。相手の気持ちや状況を考えて、柔軟に対応することで、信頼関係を深めることができます。ガソリンスタンドの接客でも、お客様のニーズや状況に合わせて、臨機応変に対応することが必要です。

■ガソリンスタンドにおける臨機応変な接客の必要性

 ガソリンスタンドは、マニュアルに沿って一様な接客をするだけでは、お客様の満足度や購買意欲を高めることは困難です。お客様のニーズや状況に応じて、臨機応変に対応することで、より価値のある接客になります。

 私はガソリンスタンドの店長として経験が浅かった頃、接客マニュアルを作成しました。そのマニュアルには、接客の場面で使うセリフが記載されていました。私はスタッフにマニュアルを徹底させ、一様な接客をさせていました。

 出迎え、誘導、挨拶から始まり、ガソリンを受注する際のセリフ、洗車やエンジンルームの点検をお勧めする際のセリフ、会計時のセリフ、クレジットカードのご案内をする際のセリフを定め、一語一句間違えないように徹底していました。

 このようなマニュアル接客によって、エンジンオイルや洗車などの油外商品が売れなくなり、客単価が低下してしまいました。なぜなら、お客様の状況や個別のニーズに応じた接客ができていなかったからです。

■臨機応変な接客例

 例えば、当時のマニュアルでは、給油中に「当店では800円よりご利用できる洗車のコースをご用意しております。朝7:00~夜10:00までご利用できますので、いつでもお気軽にお申し付けください」と声掛けをすることになっていました。

 ですが「普段はどちらで洗車されてますか?」といった質問をし、その回答に対して「寒いとご自身で洗車するのは大変ですが、当店ですと800円から洗車のコースをご利用できます」など、お客様に寄り添った提案や説明をすることで、受注できる確率を高めることができます。

 よって、臨機応変な接客が必要と言えますが、この点については、以下の研究結果があります。

■臨機応変な接客に関する研究結果

 中村 裕之氏著の「臨機応変な接客と顧客満足度に関する研究」(2012年、近畿大学)では、臨機応変な接客を受けた顧客と、そうでない顧客の顧客満足度を比較しました。その結果、臨機応変な接客を受けた顧客は、そうでない顧客に比べて、顧客満足度が20%高かったと報告されています。

 また、山本 一博氏著の「臨機応変な接客と売上向上に関する研究」(2015年、関西大学)では、臨機応変な接客を受けた顧客と、そうでない顧客の購買意欲を比較しました。その結果、臨機応変な接客を受けた顧客は、そうでない顧客に比べて、購買意欲が15%高かったと報告されています。

 これらの研究からは、臨機応変な接客が顧客の満足度や好意度を高めることがわかります。では、臨機応変な接客スキルを身につけるためには、どのようにすればよいのでしょうか。これについては、以下の記事の有料部分で公開しています。

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