クレーム発生時における傾聴の効果

コラム

クレームが発生したら

 昨日のコラムでも述べたとおり、ロードサイド店には、不特定多数の顧客が訪れます。価値観が多様化した現在、不特定多数の方が訪れるということは、様々なニーズを持った方が訪れるということです。

 そのような中、商品の品質、接客態度などを巡って、クレームが発生するケースもあるでしょう。ここで重要な点は、クレームが発生したら、「処理」ではなく、「対応」をする、ということです。「処理」しようとすると、できるだけ早くクレームを収め、通常業務に戻ろうとします。つまり、いかに早く簡単にコトを収めるか、という観点がメインとなります。これに対して「対応」しようとすると、その顧客を理解しようという観点がメインとなります。

傾聴のスキル

 クレーム対応の基本は傾聴です。こちらが何を言おうか一切考えず、「聴」という字が示すように、顧客の話に耳だけでなく目と心も傾けます。

 弊社で提供している傾聴の研修では、そのスキルを身につけるために以下のワークを行います。
 (1) 2人1組になり、話し手・聞き手を決めます。
 (2) 3分間で最近あった良かったことを話していただきます。
 (3) 聞き手は頭の中を空っぽにして傾聴します。
 (4) 話し手・聞き手を交代し、上記(2)を行います。

 このワークを行った後に、各人から傾聴してみた感想を伺うと、「聞いている話のイメージが湧いた」「共感できた」などというポジティブな感想の他に「3分って長い」「他のペアの声が聞こえてきてイマイチ集中できなかった」などというネガティブな感想が出ることもあります。

話を理解しているサイン

 研修の場では、上記の感想を伺った後に、「話を理解しているサイン」として、「頷き・相槌」「繰り返し」「言い換え」をご紹介します。
 「頷き・相槌」は、相手の話の内容によってテンポや大きさを変化させることを意識しながら行います。「繰り返し」は、相手の話の中でポイントとなるキーワードを繰り返します。「言い換え」は、相手の話を自分なりに言い換え、自分が相手の話を理解しているか確認します。

 そして、上記3つの「話を理解しているサイン」を最低1個使いながら、先ほど行ったワークを再度行っていただきます。この際に、「時間は何分で」ということは明かしません。

 そして、初回のワークは3分で行いましたが、2回目のワークはあえて4分間で行います(繰り返しになりますが受講者には明かしません)。そして2回目のワーク終了後に、「実は4分間でやっていただきました」と伝えると、受講者は3分でやり取りしていたと思っていますので、4分という時間の短さに驚きの声があがります。
 そして多くの受講者が「1回目のワークよりも相手の話に集中できた」「1回目のワークよりも相手のことを理解できた」という感想を述べるのです。

雨降って地固まる

 人は自分を理解して欲しいという欲求があり、クレームを抱えた顧客はその傾向が強いはずです。その際、クレームにあたる店舗スタッフに、できるだけ早くクレームを収め、通常業務に戻ろうとする姿勢が透けて見えると、クレームは大きくなりがちです。
 これに対して、クレームに向き合い、相手の話を理解しようという対応は、結果としてクレームが早く収まり、固定客になる可能性が生まれてきます。クレームという雨が降った結果、固定化という地が固まるのです。

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