クーポンで集客を図る美容室に差別的優位性が必要な3つの理由

戦略の考え方

 価格以外で他店との差別的優位性が確立していない美容室が割引クーポンで集客をすると、その効果は一時的なものになりがちであり、割引クーポンを配布しないと顧客が来店しなくなってしまうリスクがあることに留意する必要があります。

 今回のコラムでは、ある美容室経営者からの相談を通じて、割引クーポンで集客を図る美容室に差別的優位性が必要な理由を見ていきます。

割引クーポンを配布する目的

 ある美容室の経営者が発した、以下の相談に触れる機会がありました。

 「割引クーポンで美容室が集客すると安売りのイメージが定着してしまわないでしょうか?
 割引クーポンも配布し始めの頃は、安さにつられて新規顧客も来店するのかもしれませんが、それをどのように固定化させるかで頭を悩ませています。また、スタッフがたくさんいれば、割引クーポンで集めた新規顧客もこなせるので売上は上がりますが、スタッフが少ない現状で、そのような販促策は、待ち時間が長くなり、顧客に不満を抱かせ、却って経営的に厳しくなってしまわないでしょうか?」

 顧客は、同店を初めて利用する新規顧客、過去に利用したことのある既存顧客に分けられます。さらに、既存顧客は、定期的に通ってくれる顧客と、以前は利用していたもののしばらくご無沙汰の休眠顧客に分類できます。
 
 そして、割引クーポンによる集客は、短期的な売上の確保ではなく、新規顧客の固定化、既存顧客の中の休眠顧客の活性化を目的とするべきです。そのためには差別的優位性が必要ですが、なぜそれが必要なのか、以下にその理由を示します。

理由1.顧客の固定化・活性化のため

 集客の手段が価格訴求の割引クーポンだけであれば、前述の相談にあるとおり、安売り店のイメージが定着することとなります。この場合、あたかも麻薬のように、割引クーポンに頼らなければ集客できなくなってきます。

 これが、美容師のスキル、店舗の雰囲気、他店にはないサービス・メニューや取扱商品など、差別的優位性が明確になっていると話は別です。

 割引クーポンがきっかけで来店された新規顧客は、この差別的優位性に魅せられた場合に、リピーターとして既存顧客となり、固定化を図ることが可能となります。

 休眠顧客においては、差別的優位性に魅せられれば、同店の良さの再認識をすることが可能となり、休眠から脱却し、活性化を図ることが可能となります。

 なお、割引クーポンの発行により、価格だけを重視する顧客層の来店も見込まれます。このような層が重視する差別的優位性は、価格だけですから、その他の差別的優位性を用いても固定化も活性化もしないでしょう。

 よって、割引クーポンで集客した顧客が全て固定化もしくは活性化してくれるとは限らない点に留意する必要があるでしょう。

理由2.顧客数の頭打ちを回避するため

 割引クーポンといった価格戦略を他店が模倣することは非常に容易です。つまり、他店が模倣することで、自店の価格による差別的優位性は成立しなくなります。

 そうすると、割引クーポンによる集客効果は停滞もしくは低下することとなり、これが、前述の相談にある、頭打ちの状態となります。

 よって、他店が追随できない価格以外の差別的優位性を構築する必要があります。
 例えば、ある理容店では、散髪中の顧客とのやり取りで、顧客の髪以外の悩み事を把握したら、それを解決できる自店の顧客を紹介する制度を導入しています。そして、この取組みを計画書としてまとめ、その内容について県知事から承認を得ています(経営革新計画の承認制度)。
 このような差別的優位性が、集客力にも寄与することとなり、頭打ちを回避しやすくなります。

理由3.スタッフの処遇改善・定着のため

 割引クーポンは、店舗の利益を多かれ少なかれ、削ることとなります。どんなに集客しても利益が少なければ、労多くして益少なしの状態となり、スタッフの待遇は上がることなく、大勢の顧客に施術をしただけ、という疲労感だけが残り、定着率にも影響するかもしれません。

 これに対して、差別的優位性があれば、新規顧客の固定化、休眠顧客の活性化に繋がる可能性が高まりますから、その後、割引クーポンを配布せずとも、集客が可能となり、店舗は潤うこととなります。

 ここで、具体的な事例を見ていきたいと思います。

競合から顧客を奪った接骨院

 先日の上旬、弊社所在地の傍に、ある接骨院が開業しました。そして、オープンイベントということで、5,000円相当の施術を500円で提供するという内容のチラシを、新聞折込で配布していました。

 このチラシを見た私は、興味半分でこの接骨院に500円施術の予約を入れ、当日に電気の機械を用いた施術を受けてきたところ、長い間悩まされていた右肩の痛みが激減しました。これにより、月1ペースで通っていたマッサージ店に行くのを止めました。このマッサージ店にはそのような機械・技術はないのです。

 このように500円という価格で集客し、電気を用いた治療器を保有するという差別的優位性でこの接骨院は、他店から顧客を奪ったわけです。

 クーポンで集客を図る美容室に差別的優位性が必要な理由として、1.顧客の固定化・活性化のため、2.顧客数の頭打ちを回避するため、3.スタッフの処遇改善・定着のため、の3点を挙げ、事例を見てきました。
 是非、差別的優位性を見出し、不毛な価格競争から抜け出していただきたいと思います。

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