有効な経営計画を作成するために仕事の覚悟を決めるべき理由

1年前の今日

 今日は2018年3月21日です。2017年3月21日の1年後、2019年3月21日の1年前です。さて、1年前の今日に、1年後の今日の売上を明確に意識していたでしょうか。

 売上が厳しいと嘆く経営者・店長に限って、その日の売上を追いがちです。もちろん目の前の1日1日に注力することは大事なことです。しかし、目の前の1日に出たとこ勝負で挑む経営者・店長と、しっかりその日の準備をした経営者・店長では、結果が違うことは想像に難くありません。

 つまり、たまたま売れたのか、仕組んで売ったのか、ということであり、そこに計画の重要性があります。

アイゼンハワーの原理

 しかし、「計画を作っただけ」で終わっている事業者様も多い印象があります。何時間もかけて作成した事業計画が実行されないのです。その理由のひとつに「忙しかったから」というものがあります。では、なぜ忙しいのでしょう。ここで、1960年代にアメリカ合衆国で大統領を務めたアイゼンハワーが提唱した「アイゼンハワーの原理」という考え方が参考になりますのでご紹介します。

 仕事を重要度の高低と緊急度の高低に分け、4つに分類します。もちろん、置かれた環境や担当している仕事により、どのゾーンに何の仕事が入るかは変わってきますが、図に表示しているのは一般的な内容です。

 そして、私たちは、重要度が高く緊急度が高い仕事(Aゾーン)と、重要度が低く緊急度が高い仕事(Cゾーン)に日々追われています。よって、このA・Cゾーンに分類された仕事をいかに減らすかに着目します。これらが減れば、余裕ができ、計画が実行されやすくなります。

 まず、Cゾーンの仕事は、他人に任せることを検討します。突然かかってきた電話に経営者・店長が直接出るのではなく、他の人に出てもらい、用件を聞いてもらう。そして重要な用件であれば、つないでいただく。アポなし訪問を受けた場合も同様です。

 次に、Aゾーンの仕事は、Bゾーンの仕事を充実させることにより、減らしていきます。計画を立てて締め切りのある仕事に余裕を持って対応する、従業者の能力開発によって、トラブル・クレームを防止する、という考え方です。

覚悟を決める

 このような話をすると、「でも、Aゾーンの仕事を放っておいてBゾーンの仕事をするわけにはいかないじゃないですか」と言う方がいらっしゃいます。ここで以下の逸話をご紹介します。

 1965年頃の話です。パナソニック株式会社の創業者であり、経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏が京都で講演をしました。その内容は「ダム式経営」という考え方です。ダムとは水を貯める池を指しますが、「ダム式経営」とは、企業は経営資源である「人・物・金」のダムを作り、リスクに備えることが重要という考え方です。

 これをテーマに中小企業の経営者を相手に講演した後、質疑応答の時間がありました。そこで、ある経営者から質問が出ました。


 「松下さんの会社は大企業だからダム式経営ができると思うが、我々のような中小企業がダム式経営を行えるとは思えない。どうしたら中小企業でもダム式経営ができるようになるのか教えて欲しい」

 これに対して、松下幸之助氏はしばらく考えた後に、こう答えました。


 「そうなるように強く思うことが重要です」

 この回答に講演会場は「なんだ、そんなことか」という雰囲気が漂ったといいます。しかし、その講演会場の最後列で受講していた、京セラ株式会社を創業したばかりの稲盛和夫氏だけは、こう捉えました。


 「なるほど、ことを成すには思いが重要なんだな」

 「覚悟」とは「吾(われ)」の「忄(こころ)」が目「覚」める時、です。稲森氏が、ことを成そうと覚悟を決めた瞬間でした。

 Aゾーンの仕事があるからBゾーンの仕事ができない、と思うのではなく、Bゾーンの仕事をやると覚悟を決める。そうしないとAゾーンの仕事はなくならないのです。

 有効な経営計画を作成するために仕事の覚悟を決めるべき理由は、緊急性のある仕事に振り回されることなく、自店の将来を描くことができるため、と言えるでしょう。

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