応募者が少ないガソリンスタンドの求人広告3つの特徴

人材確保

 「SSスタッフ募集 時給950円 やる気・元気のある方大歓迎!! 車好き・洗車好きにぴったり!!」(41字)

 あるガソリンスタンドの求人広告に示されていた告知内容です。立地条件や他店の募集状況によって変わって来るとは思いますが、直感的にこの求人広告は、応募は少ないと思いました。

 なぜ、そのように思ったか。今回のコラムでは、応募者が少ないガソリンスタンドの求人広告に見られる特徴について見て行きます。

応募者が少ない求人広告の特徴1:素人には分からない言葉を使う

 業界内ではガソリンスタンドのことを「SS(エスエス)」と呼びます。SSはサービスステーションの略ですが、一般の方は「そろそろSSで給油しないと」「あそこのSS安いよね」とは言わないはずです。

 ガソリンスタンドでは、ガソリンだけではなくサービスも提供するという意思を込めてSSという言葉を業界内で普及させてきた背景がありますが、一般の人はSSではなく「ガソリンスタンド」と呼びます。

 デパートは百貨店とも呼ばれますし、婦人服店はブティックとも呼ばれ、消費者にも広く認識されています。これに対してSSという呼び方は広く認識されていないにもかかわらず、冒頭のガソリンスタンドは「SSスタッフ募集」と示しています。

 よって、この広告を見た人の中には「ガソリンスタンドスタッフじゃなくてSSスタッフとは何をするのだろう」と疑問を抱く人もいるでしょう。疑問を解消するべく積極的に質問をする人ばかりではありません。「よく分からないから他に応募しよう」と考える方も相当数存在するのではないでしょうか。

 「自分たちが分かっているから」という理由での告知は、他人への理解を困難にさせます。受け手目線が欠けているという点では、お客様に「エンジンオイルがカーボンやスラッジでずいぶん汚れています」といった専門用語を使って交換を勧め、断られるケースが多いことも想像できます。

応募者が少ない求人広告の特徴2:わかりきったことに字数を使う

 冒頭の求人広告には「やる気・元気のある方大歓迎!! 車好き・洗車好きにぴったり!!」とあります。

 まず、やる気のない方は応募してこないはずです。ガソリンスタンドですから、車が嫌いな方も応募しないでしょう。ですから、やる気のある方、車が好き(最低でも嫌いではない)な人が応募してくるわけですから、限られた告知スペースにわざわざ示すことではないでしょう。

 限られた告知スペースですから、有効的な使い方が必要です。では、限られた告知スペースに優先的に記載する有効的なものとは何なのでしょうか?

応募者が少ない求人広告の特徴3:ビジョンを示していない

 人は行き先が分かると安心します。店舗が自店のビジョンを示すことは店舗がどうなりたいのか、行き先を示すということです。よって、限られた求人広告スペースに優先的に記載するべき有効的なものは、自店のビジョンと言えるでしょう。

 これにより行き当たりばったりでの事業運営ではないという安心感を覚えますので、応募者が増加する可能性が高まります。

 冒頭の求人告知には「洗車好きにぴったり」と示されていることから、洗車の顧客が多い、もしくは洗車に力を入れていることが伺えます。よって「当店は洗車による地域貢献を目指しています」「当店は洗車の待ち時間を現状の半分にすることを目指しています」といったビジョンが考えられます。

 以上より、冒頭の求人広告を修正した例として「ガソリンスタンドスタッフ募集 時給950円 当店とともに洗車で地域貢献を果たしましょう。」(40字)が挙げられます。

 今回のコラムでは、応募がないガソリンスタンドの求人広告3つの特徴として、1.素人には分からない言葉を使う、2.わかりきったことに字数を使う、3.ビジョンを示していない、を挙げました。

 他人から成功している、と言われる店舗は何らかの工夫をしているものです。人材採用で成功しようと考えるのであれば、何の工夫もなく、単に求人広告を出しているに過ぎないのではないか、と今一度検討する必要があります。

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