生き残るガソリンスタンドのコンプライアンスに対する取組みとは

経営の姿勢

常連客のたまり場になる店舗

 常連客のたまり場になっている店舗は、一見客からしてみると入店の敷居が非常に高く、さらに、たむろしている常連客の雰囲気が近寄りがたいものであると余計に入店しにくくなります。

 ある24時間営業のガソリンスタンドは、早番・遅番・夜勤の3交代制をとっていました。早番・遅番は役職者がシフトに入りますが、深夜の時間帯は油外商品が売れないこともあり、生産性が低いため、危険物取扱者の資格を持ったアルバイトさんに運営を任せる勤務体系をとっていました。おそらくこの店舗に限らず、多くのガソリンスタンドが夜勤をアルバイトさんに任せている印象があります。

 ここで、社員教育や役職者とのコミュニケーションがおざなりになっていると、夜間のガソリンスタンドはアルバイトさんの友人のたまり場になりやすくなります。

 そのガソリンスタンドは、深夜になると二輪・四輪問わず、不正に改造した車に乗った若者のたまり場となっていました。そのほとんどが、深夜勤務のアルバイトさんの人脈でした。

 このような状況になると、一見客は入店しにくくなり、深夜の時間帯における同店の売り上げはほとんどなくなってしまいました。

その店舗が給油を拒否した理由

 このことを察知したその店舗の店長は、ヘルメットをかぶらない状態でオートバイに乗って来店された顧客に対しては、給油をお断りすることとしました。

 店長が店舗にいる時間帯にノーヘルで来店された方に対しては、店長が顧客に対して直接、給油お断りの旨を告げ、退店していただきました。
 当初は、顧客ともめるのではないかと、店長も周りもヒヤヒヤものだと言っていましたが、その対応で顧客とトラブルになったことはありませんでした。

 ヘルメットをかぶらないでオートバイを運転するということは、道路交通法違反であり、そのような顧客に給油をするということは、コンプライアンス(法令順守)に抵触します。
 この取り組みを続けていくうちに、その店舗にはヘルメットをかぶらない状態でオートバイに乗って来店される顧客が皆無となりました。

 そして、夜間が野放図となっていたことを受け、24時間営業をいったん打ち切り、朝7時から11時までの営業としました。

 この店長は、夜間を野放図にしてしまった責任があります。しかし、その改善策として、夜間の時間帯の営業を単純に取り止める前に、ノーヘル客の撲滅から手をつけました。夜間の営業を止めてノーヘル客を撲滅するという対症療法ではなく、店舗のコンプライアンス意識を改善するという、悪い状況を招いた原因から潰していったのです。

 このようなコンプライアンスを意識した取り組みは、店のオーラを変えます。結果として、営業時間が大幅に短縮したにもかかわらず、日中の時間帯に油外商品の販売が促進されて客単価が上昇するとともに、深夜の時間帯に使っていた無駄な経費が削減され、店舗の利益は向上することとなりました。

 ロードサイド店舗は実に様々な顧客が訪れ、実に様々な接客が求められます。そのような状況の中で、コンプライアンスをしっかり意識した取り組みは、業績まで変えていくことを念頭に店舗運営に取り組まなければなりません。

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