残念なガソリンスタンド事典(OJT編)

残念なガソリンスタンド事典

ガソリンスタンドにおける人材育成の重要性

 ガソリンスタンドは、取扱商品で差別化が困難な業種です。そこで価格で差別化しようとすれば利益が削られます。さらには、いったん建設してしまえば立地もおいそれとは変えることができません。そこで人材で差別化する必要があり、人材育成が大きな意味を持ちます。

 人材育成の手法は以下の3つが挙げられます。
 ・OJT(オンザジョブトレーニング:仕事をしながら能力開発を図る)
 ・Off-JT(オフザジョブトレーニング:仕事から離れて能力を図る)
 ・自己啓発(スタッフが自主的に能力開発を図る)

 これらが残念な状況のガソリンスタンドは、当然のことながら差別化できないだけでなく、従業員の定着率も悪くなります。なぜなら、従業員満足の要素のひとつに人材育成があるからです。今回のコラムでは、この人材育成のうち、OJTが残念なガソリンスタンドの典型例を見ていくことにより、人材育成の充実をいかに図るべきか検討していきます。

OJTが残念なガソリンスタンド1:OJTという名のほったらかしが発生している

 ガソリンスタンドで新人スタッフを対象に行うOJTにおいて、トレーナーを店長が務めたとします。一般的に店長はその店舗内ではスキルが高く、知識も豊富な方が多いですから、トレーナーとして適任という判断をされる場合も多いと思います。

 ですが、店長は店内で一番忙しいため、トレーナーを任せると、現場でのOJT中に他の仕事で呼ばれることもあります。この場合、新人スタッフはほったらかしになります。そんな中、店舗が混雑してきても新人スタッフは何をすることもできず、ひたすら現場で店長が来てくれるのを待つことになります。

 混雑している状況で、顧客は様々な要望をスタッフに伝えることを躊躇するものですが、そんな中、ぼーっと立っている(ように見える)スタッフは「空気圧を見てほしいんだけど」「早く給油してほしいんだけど」「洗車をお願いしたいんだけど」などと声を掛ける絶好のターゲットとなります。

 顧客からご要望をいただいた何もできない新人スタッフは、先輩や店長にこのことを伝えに行こうとしますが、皆さん忙しく働いており、なかなかつかまりません。そんな中、「早くしろっ」と声を掛けてきた顧客が怒り出すことがあります。このような経験をした新人スタッフは自分が職場から大事にされていない感覚を持ち、翌日から出社しななくなる可能性が高まります。

OJTが残念なガソリンスタンド2:OJTという名のぶっつけ本番が発生している

 ガソリンスタンドにおけるOJTで店長がトレーナーをやると前述の「ほったらかし」の他に「ぶっつけ本番」が発生することもあります。これは、店長が忙しさに挫けてしまい、OJTを中途半端な形で切り上げてしまい、新人に接客させてしまうケースです。

 十分にトレーニングを積んでいない状況で新人は失敗をする高いリスクを抱えています。特に多いのは、軽自動車に軽油を給油するケースです。ガソリンスタンドでは、車両用燃料としてガソリンと軽油を販売していますが、軽自動車の燃料は現時点では100%ガソリンです。

 しかし、「軽」油と「軽」自動車という風に「軽」繋がりで新人スタッフは勘違いをしてしまうケースが多く、軽自動車に軽油を給油すると、燃料をすべて抜き変えなければなりません。この場合、店舗の役に立っていないと自覚している新人スタッフが、店舗に損失を与えてしまったことで罪悪感を抱き、退職してしまう可能性が高まります。

 これらの残念なOJTを防ぐには、トレーナーを店長ではなく最前線のアルバイトスタッフなどに任せることです。これにより、教える側のスキルも高まるだけでなく、現場で新人スタッフのフォローも手厚くすることが可能となります。

 今回のコラムでは、人材育成の残念なガソリンスタンドとしてOJTで残念なパターンを見てきました。次回のコラムではOFF‐JTと自己啓発で残念なパターンを見ていきます。

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