1.はじめに
大手飲食チェーンにコロナ対策として導入されたタッチパネルでのオーダー方式を、イタリアンレストランチェーンのサイゼリヤが採用していないのはなぜなのでしょうか。
この記事では、その理由を踏まえ、成熟期を迎えた事業を展開する方策として、顧客親密性の重要性とその対策を解説します。
この記事の対象は、顧客接点に関心のある経営者やマネージャー、従業員、さらには接客に携わる人々です。記事を最後まで読むことで、顧客親密性の重要性や成熟期事業の課題について深く理解できるだけでなく、接客力向上につながる戦略や、接客力向上における読解力の役割について知ることができます。では、本題に入って行きましょう。
2.サイゼリヤの意図とは?
サイゼリヤのオーダー方式は、以下の通りです。
- まず、顧客が店内のテーブルにあるメニューからオーダー内容を決定します。
- 次に、メニューに記載されているメニュー番号と数量をテーブルに設置されている用紙に記入し、呼び出しベルでスタッフを呼び、用紙を渡します。
- スタッフは用紙に記載されたオーダー内容を顧客と確認しながら携帯している端末に入力してオーダーを受け付けます。
この方式について堀埜一成元社長は、ITビジネスオンラインの取材で次のように答えています 。
「当社はすでに成熟期に入っていることから、来店客のほとんどはリピーターであり、顧客との親密性が重要になる。ファストフード店とは違い、サイゼリヤでは注文を聞く、料理を運ぶ、皿を片付けるなどスタッフが行う接客の部分は省けない」
「成熟期」は製品ライフサイクルという概念で用いられます。製品ライフサイクルとは、製品の導入から衰退までの売上推移や市場、競合などの特徴を把握するための考え方です。製品ライフサイクルにおいて、新製品は成熟期含め以下の4つのステージを経ると言われています。
- 導入期
- 製品が市場に広まっていない段階。
- 製品認知度が低く、大きな売上は見込みづらい。
- 競合は少ないが、製品の理解度を高めるために広告宣伝などの費用をかける必要がある。
- 成長期
- 製品の特性を理解し始め、利用者が増えている段階。
- 売上の増加を見込めるが、新規の競合も増える。
- 成熟期
- ほとんどの見込み客が既に利用している状態。
- 製品の認知度が上がり、広告宣伝などの費用は縮小できる。
- 競合は撤退しはじめ、利益は最大化する。
- 衰退期
- 売上と利益は減少する。
- 競合の撤退はさらに進む。
この概念は、新製品だけでなく、事業についても言えることであり、堀埜一成元社長はサイゼリヤの事業は上記の成熟期になっていると述べています。では、なぜ成熟期に入っている事業は、顧客との親密性が重要になると考えているのでしょうか。
3.成熟期の戦略とは
成熟期の事業は、新規顧客の伸びしろが大きくありません。よってこれまでのガソリンスタンドが実施してきた事業も成熟期になっていると言うことができます。このような成熟期の事業は、いかに来店頻度もしくは客単価を上げるかが課題になります。
顧客が店舗を選ぶ際には、その店舗に対する好意、つまり親密性が大きく影響します。店舗の選択基準は、商品の性能や価格だけでなく、接客態度や店舗の雰囲気などの主観的要素も影響するということです。
ガソリンスタンドもそうですが、商品で他店と差別化できないのであれば、顧客からの好意を高める必要があります。
他の外食チェーンが非対面型のオーダー方式としてタッチパネルを導入している中、サイゼリヤは自社が成熟期の段階にいることを自覚した上で、顧客とのコミュニケーションの部分、つまり接客を強化して、顧客が抱く好意度を高め、リピーター化に繋げるという戦略を採っていると言えます。
そもそもチェーン店に接客は求めていないという声がありますが、「求められていないならタッチパネルでいい」と安易に意思決定していない点がサイゼリヤの素晴らしいところなのではないでしょうか。
これらを踏まえて、以下では接客力を高める効果的な手法として、なぜ国語ドリルが有効なのか、事例を用いて見ていきます。
ここからの記事は有料(980円)ですが、月額9,800円のマガジンを購入いただければ、毎日投稿される有料記事が、ひと月間読み放題になります。また、LINEに登録の上、読みたい有料記事のタイトルを教えていただければ(LINEのメッセージ1通につき、タイトル1つでお願いします)、ご希望の多かった記事の有料部分を毎週日曜日に配信をします。登録はこちらから↓↓↓
https://lin.ee/8Vi8RPr
なお、有料で読まれる方は、以下のリンク先からご購入手続きをお願いします。「ご指定のページが見つかりません」と示されていても、リンク先に移動できます。