ガソリンスタンド経営を成功に導く!認知バイアスを克服するためのヒント

コラム

1.認知バイアスとは

 認知バイアスとは、人間が物事の判断を下す際に、過去の経験や先入観、固定観念などに基づいて、合理性を欠いた判断をしてしまう心理現象のことであり、約200種類の認知バイアスがあるとされています。

 ガソリンスタンドの経営者や店長が、現状を打破するために様々な助言やヒントを得ても、できない理由ばかり探して、やれる方法を探さない場合、いくつかの認知バイアスの影響を受けている可能性があります。今回の記事では、このような場合に考えられるバイアスと、それぞれを克服するためのヒントをご紹介します。

「でぎねぇ理由ばり探してまるのさね」

2.できない理由ばかり探す人が抱えている認知バイアスその1:否定バイアス

(1)否定バイアスとは

 人は、ポジティブな情報や経験よりも、ネガティブな情報や経験に注意を向けやすく、記憶しやすいという傾向があります。例えば、航空機の墜落事故は、非常に稀な出来事ですが、そのようなネガティブなニュースが人々の記憶に残りやすいのは、否定バイアスが影響していると言えます。

「墜落すれば、まいねぇよ」

 この否定バイアスが強いと、せっかくのビジネスアイデアを得ても、できない理由ばかりに意識が向いてしまい、やれる方法には意識が向きにくくなります。

(2)否定バイアスの克服方法

 自身にこのようなバイアスが思い当たる場合は、日頃からポジティブな言葉を使うようにしましょう。 「できない」「無理だ」といった言葉ではなく、「できる」「やってみよう」といった言葉を使うようにしましょう。

 使う言葉の重要性を示す実験をご紹介します。ニューヨーク大学で行われた実験では大学生をいくつかのグループに分けました。各グループには、単語が記入されたカードを配布し、それを使って文章を作ってもらいました。

「『タンゴ』を踊っているのさね」

 ただし、あるグループだけは「腰痛」「年金」「白髪」など高齢者を連想させる単語の書かれたカードを混ぜておきました。

 各グループメンバーには、それら単語カードを用いて文章を作った後、別の教室へ歩いて移動してもらいました。その際に、各メンバーの歩く速度を計測したところ、高齢者カードを配布したグループのメンバーだけ歩く速度が遅かったという結果が出ました。

 このことは、私達人間の行動は、私たちが触れる言葉に影響を受けることを示しています。そして、私達が日々最も多く触れるのは、自身が発した言葉です。よって、ポジティブな言葉を発することによって、思考や行動もポジティブになり、否定バイアスの影響を最小化することが期待できるでしょう。

3.できない理由ばかり探す人が抱えている認知バイアスその2:固定観念バイアス

(1)固定観念バイアスとは

 人は、物事や人に対して一度形成されたイメージを変えにくく、新しい情報を鵜呑みにせず、既存の枠組みの中で解釈してしまう傾向があります。

「枠の中に収まってれば、まいねーよ」

 「今まで何年も自社のガソリンスタンドでは儲けが出ていないから、今後も儲かるはずがない、よって新しい取り組みをやっても無駄」という固定観念が「やれる方法」ではなく「できない理由」を探させているかもしれません。

 アメリカの経営学者であるスミスとウインターは、1988年に企業経営者の意思決定における過去の経験の影響を調査しました。

 これによると、過去の成功経験は、新しい市場への参入を促進することが示されました。過去の成功体験は、経営者に自信を与え、リスクを冒して新しい市場に挑戦する意欲を高めることが考えられます。

 また、過去の失敗経験は、新しい市場への参入を抑制することが示されました。過去の失敗体験は、経営者に不安を与え、新しい市場に挑戦することを躊躇させることが考えられます。

 このように、人は過去の経験から固定観念を持ち、現在の行動に影響を与えるバイアスを持っています。

(2)固定観念バイアスの克服法

 自身にこのようなバイアスが思い当たる場合、自分の固定観念とは異なる意見や考えなど様々な情報に触れて、視野を広げるようにしましょう。例えば、1日10分、YouTubeの動画を視聴するといったルールを決めて実行することも効果に繋がるでしょう。

 また、「メタコミュニケーション」を使って、ご自身を客観的に見ることも有効です。これは、自分が認知していることを客観的に見ることを指します。つまり、自分が聞いたり、見たり、理解したり、考えたりしていることを、もう一人の自分が一段高いところから客観的にとらえている状態と言えます。

 例えば「そのやり方はできるはずがない」と思った自分を撮影するカメラに、自分はどのように映っているかを想像し、その画像にテロップを流してみると、この概念が理解しやすくなるでしょう。

「どういう風に映っているべの?」

3.まとめ

 ガソリンスタンド経営における現状打破は、多くの場合、様々な認知バイアスによって阻害されます。否定バイアスや固定観念バイアスは、経営者の思考を狭め、新しい可能性を閉ざしてしまう可能性があります。

 しかし、これらのバイアスを克服するためのヒントは存在します。ポジティブな言葉遣いを意識し、様々な情報に触れることで、視野を広げ、柔軟な思考を養うことができますので、思い当たる方はぜひ試してみて下さい。

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