アイゼンハワーの原理とPM理論の融合:仕事に振り回されないリーダーシップとは

コラム

1.はじめに

 リーダーが限られた時間の中で成果を上げるためには、抱えている多くの仕事を区分し、優先順位をつけることがポイントです。そして、仕事の区分の仕方として「アイゼンハワーの原理」があり、リーダーにとって優先順位の高い仕事を「PM理論」が示しています。

 今回の記事では、アイゼンハワーの原理で区分した仕事のうち、緊急ではないものの重要な仕事の内容をPM理論を用いて見ていきます。これを理解することによって、効果的なリーダーシップを発揮できることに繋がるでしょう。

「抱え過ぎはまいねーよ」

2.アイゼンハワーの原理とは

 アイゼンハワーの原理は、第34代アメリカ合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが提唱した、仕事を重要度と緊急度の2つの軸で4つに分類する考え方であり、以下のように分類できます。

 各ゾーンの仕事の特徴は以下のとおりです。

  • Aゾーン(緊急度も重要度も高い):今すぐ対応が必要な最も重要な仕事
  • Bゾーン(緊急度が低いが重要度は高い):後回しにすることはできるが、いずれ対応が必要な重要な仕事
  • Cゾーン(緊急度は高いが重要度は低い):今すぐ対応が必要ではあるが、重要性は低い仕事
  • Dゾーン(緊急度も重要度も低い):今すぐ対応は必要ではなく、重要性も低い仕事

 そして職場のリーダーは、アイゼンハワーの原理における緊急度も重要度も高いAゾーンの仕事と、緊急度は高いが重要度は低いCゾーンの仕事に追われがちです。

「追われでしまうのさね」

 Cゾーンの仕事は他者に任せることで対応が可能ですが、Aゾーンの仕事はリーダーが取り組む必要のある内容も含まれます。しかし、Bゾーンの仕事に積極的に取り組んで、Aゾーンの仕事を減らすことが可能です。

 このBゾーンの仕事を以下に示すPM理論で説明していきます。

3.PM理論とは

 PM理論は、1966年に日本の社会心理学者である三隅二不二氏によって提唱された、リーダーの行動を2つの軸で分類し、効果的なリーダーシップを発揮するための理論です。PM理論は、リーダーの行動を目標達成機能(P:Performance function)と集団維持機能(M:Maintenance function)の2つの軸で定義します。

  • P機能:計画策定、指示・監督、目標達成に向けた進捗管理など
  • M機能:メンバーの育成・指導、チームワークの向上、良好な人間関係の構築など

 両機能の高低を組み合わせると以下に示した4つのリーダーシップの型が見出せます。

 上記4つのリーダーシップスタイルは以下のとおりです。

  • PM型:P機能とM機能の両方が強い、理想的なリーダーシップスタイルであり、目標達成とチームワークの両立に優れています。
  • Pm型:P機能が強く、M機能が弱いリーダーシップスタイルであり、短期的な目標達成には優れていますが、長期的なチーム運営には課題があります。
  • pM型:P機能が弱く、M機能が強いリーダーシップスタイルであり、チームメンバーとの良好な関係を築くことに優れていますが、目標達成には課題があります。
  • pm型: P機能とM機能の両方が弱いリーダーシップスタイルであり、チーム運営に課題があります。

 つまり、P機能とM機能の両方に配慮し、取り組むリーダーが有効的なリーダーシップを発揮できると言えます。このことが、アイゼンハワーの原理におけるBゾーンの仕事と関連します。

4.PM型リーダーシップとBゾーンの仕事

 PM理論におけるP機能とM機能の両方に注力することで、Bゾーンの仕事に効果的に取り組むことができます

  • P機能:長期的な目標を明確に設定し、具体的な計画を策定することが重要です。また、チームメンバーに指示・監督を行い、進捗状況を管理することで、目標達成に向けて着実に進むことができます。この取組みは、緊急度は低いものの重要度が高く、Bゾーンの仕事に該当します。
「目標達成のためのリーダーの行動な」
  • M機能:チームメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、意見交換を行うことが重要です。また、メンバーの成長を支援し、チームワークを向上させることで、より高い成果を上げることができます。この取組みは、緊急度は低いものの重要度が高く、Bゾーンの仕事に該当します。
「チームワーク向上のためのリーダーの行動な」

5.まとめ

 アイゼンハワーの原理とPM理論を組み合わせることで、Bゾーンの仕事が有効的なリーダーシップスタイルであることが分かりました。以下はそのポイントです。

  • Bゾーンの仕事は、将来的な目標達成やチーム全体の生産性向上に繋がる重要な仕事である。
  • PM理論におけるP機能とM機能の両方に注力することで、Bゾーンの仕事に効果的に取り組むことができる。
  • リーダーは、Bゾーンの仕事に積極的に取り組み、Aゾーンの仕事を減らすことで、より効率的に仕事を進めることができる。

 リーダーは、これらのポイントを踏まえ、Bゾーンの仕事に積極的に取り組むことで、Aゾーンの仕事を効率的に処理し、真のリーダーシップを発揮することができます。

 現代社会を生き抜くリーダーにとって、重要なのは「目の前の仕事に追われること」ではなく、「未来を見据えて戦略的に行動すること」です。

 アイゼンハワーの原理とPM理論を理解し、Bゾーンの仕事こそリーダーシップ発揮の舞台と捉え、積極的に取り組むことで、より高い成果とチーム全体の成長を導きましょう。

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