CSR (企業の社会的責任)を果たすことがなぜ業績に影響を与えるのか

経営の姿勢

札幌市における民泊の事例

 自宅の一部や空き別荘、マンションの空き室などを活用した宿泊サービスの提供を民泊と言いますが、先日の報道で、北海道札幌市の民泊のことが取り上げられていました。その内容は以下の通りです。

 札幌市は民泊サービスの登録が全国最多の1,000カ所に及びますが、そのうちの約7割が、国がガイドラインで求めている「消防法令適合通知書」の交付を受けていないことが明らかになりました。
 法的義務ではないため、市は「提出がなくても民泊事業の届け出は受理できる」としていますが、国は、安全管理に問題があるとして、調査や指導に乗り出すこととしました。

 コンプライアンス(法令順守)を含む概念であるCSRに大きな関心が向いている現代において、法令に違反していなければ、何をやっても良いというわけではない、ということが取り沙汰された報道でした。

運転免許を持たずして公道外を運転した事例

 公道で車を運転するには運転免許が必要です。それは、公道でないところで車を運転するには運転免許が不要、という解釈が成り立ちます。

 あるガソリンスタンドでは、スタンド内の敷地は公道ではない、という判断から、運転免許を持たない高校生のスタッフに洗車作業時などの車の移動をさせていました。最初は、ちょっとだけ車を動かす程度から始まったのですが、だんだん車の移動に慣れてくると、洗車機や車両整備場所への車の出し入れまでするようになりました。

 このスタッフがガソリンスタンドの敷地内で顧客の車両を移動していた際に、敷地内の看板に車両をぶつけてしまうという事故を起こしました。
 その車両の持ち主である顧客が、運転していたスタッフがあまりに若いので運転免許があるのか聞いてみた際の「ない」との返答が、この事故の解決がこじれることとなりました。

 法律上は問題なく、コンプライアンスは果たしていると解釈することができるかもしれません。ですが、CSRの観点からは問題があると言えるでしょう。

認証を受けずに分解整備を行った事例

 車を分解整備しようとする際は、地方運輸局長の認証を受けなければいけないことになっており、この認証を受けた事業所を認証工場と呼びます。ガソリンスタンドにおいても、分解整備を行うには、この認証を受け、認証工場となる必要があります。

 あるガソリンスタンドはこの認証を受けてはいないものの、車の整備について、非常に詳しいスタッフが揃っていました。ある日、その店舗のスタッフが、顧客から依頼され、ブレーキの分解整備を行って部品を交換し、部品代と工賃をいただきました。

 顧客は、そのガソリンスタンドを出てから1時間ほど運転していたときに、変な匂いを感じました。車を降りてみるとタイヤのあたりから煙が出ています。急遽レッカー車を呼び、応急手当をしてもらいました。応急手当をした業者によるとブレーキから煙が出ているとのことでした。

 その顧客は、ブレーキの分解整備を行ったガソリンスタンドへ、修理のミスではないか、とクレームを付けに行きました。しかし、その車両の持ち主である顧客が、うっかりしていて、サイドブレーキを外さないまま走行し続けたことがブレーキから煙が出た原因だということが判明しました。
 よって、顧客の車両の使い方が問題であり、自店の整備とは無関係である、という結論で今回のクレームは収まるべき話でした。

 ところが、このガソリンスタンドは、分解整備を行うことのできる認証を受けていませんでした。この点を顧客に指摘されたことにより、この事故の解決がこじれることとなりました。このガソリンスタンドは、コンプライアンス違反であり、CSRを果たしていませんが、そのことにより、「顧客の不備」だけで話が済むところが、そうではなくなった事例です。

 ガソリンスタンド内を無免許で運転していた事例も、認証を受けずに分解整備をした事例も、解決までに大きな負荷がかかり、それに伴う有形無形のコストは非常に大きなものになりました。

 トラブル対応は、機会損失を招きます。そのトラブルが発生せず、その対応がなければ、販売やスタッフの育成、コミュニケーション、戦略策定など、事業拡大に時間を費やすことができるはずだからです。

 CSR (企業の社会的責任)を果たすことは、機会損失を防ぎ、業績拡大に寄与するということを念頭に置いて経営に当たる必要があります。

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