「売れなくなった…」高度成長期に大きく業績を伸ばした店舗を運営する多くの経営者が呟く代表的な台詞です。正確に言うと「モノ」が売れなくなったということであり、消費者は「モノ消費」から「コト消費」にシフトしていると言われており、これらの例として以下が挙げられます。
「モノ」消費:野球ボールの代金を払い、野球ボールという「モノ」を買う。
「コト」消費:指導料を払い、野球が上手くなる「コト」を買う。
今回のコラムは「モノ」が売れなくなったと言われる現在、「コト」に焦点を当て、これまで「モノ」を提供していた店舗が、「コト」を提供していくための4つの視点を見ていきます。
1.「モノ」ではなく「コト」を売るために持つべき視点
HARM(ハーム)の法則というものがあります。これは、以下の頭文字をとったものであり、人間の悩み、関心、課題の9割はこの4つに分類できるとされています。
- Health(健康)
- Ambition(野心、野望)
- Relation(関係性)
- Money(お金)
よって、顧客が抱えるこれらの課題を改善できる「コト」を提供していけば、自ずと顧客満足度が高まると言えます。以下で具体的に見ていきます。
「モノ」ではなく「コト」を売るために持つべき視点(1)健康
HARMの1つめ、Health(健康)ですが、病気や怪我を防止する、容姿を整えて美しくなる、などが挙げられます。例えば、顧客はスポーツ用品店でジョギングシューズという「モノ」を買うのではなく、ジョギングを通じて健康になる「コト」を買う、という考え方です。
よって、ジョギングシューズを買いに来た顧客に店舗スタッフは、怪我を防止する準備運動の仕方、ダイエットに効果的な走行距離・時間などをお伝えしていくことで、顧客満足を高めることが可能です。
「モノ」ではなく「コト」を売るために持つべき視点(2)野心、野望
HARMの2つめ、Ambition(野心、野望)ですが、夢や希望、昇進などが挙げられます。例えば、顧客は紳士服店でスーツという「モノ」を買うのではなく、そのスーツを着て良い印象を取引先に与え、実績を上げてキャリアアップする「コト」を買う、という考え方です。
よって、スーツを買いに来た顧客に店舗スタッフは、どのようなシーンでスーツを着るのか、そのスーツを着てどのような自分になりたいのかといった点を汲み取り、それに合ったスーツを提案していくことで、顧客満足を高めることが可能です。
「モノ」ではなく「コト」を売るために持つべき視点(3)関係性
HARMの3つめ、Relation(関係性)ですが、社内や家庭の人間関係、恋愛、結婚など関係性を構築することが挙げられます。例えば、顧客は飲食店で料理とお酒という「モノ」を消費するのではなく、友人とおしゃべりをして一緒に楽しいひとときを過ごす「コト」を買う、料理や店舗の写真をSNSに投稿してフォロワーに認めてもらう「コト」を買う、という考え方です。
よって、ディナーの予約を申し込んできた顧客に対して店舗スタッフは、どのような目的の会食なのか、どのような関係性を構築したいのかを汲み取り、それに応じたコース料理の提案や接客を行うことで、顧客満足を高めることが可能です。
「モノ」ではなく「コト」を売るために持つべき視点(4)お金
HARMの4つめ、Money(お金)ですが、お小遣い、給料、投資、仮想通貨などお金に関わることが挙げられます。これは、これまで見てきた内容に付加することで、より顧客満足が高まります。例えば、ジョギングシューズやスーツが長持ちするお手入れの仕方や、よりお得な料理のセットメニューの提案などです。
ちなみに、顧客が抱えるお金に関する課題を安売りで解決しようとするのは、得策ではありません。なぜなら、ネット通販がさらなる安値で販売しているケースが多いからです。
【参考コラム】ロードサイド店舗が集客力を向上させるためにやってはいけないこと
今回のコラムでは、モノではなくコトを売るために持つべき4つの視点として、1.Health(健康)、2.Ambition(野心、野望)、3.Relation(関係性)、4.Money(お金)、を挙げました。自店が提供する「モノ」を通じて顧客はどのような課題を解決しようとしているのか、今一度考えてみることが、今以上に収益性を向上させる可能性を高めるでしょう。
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