小規模事業者持続化補助金でコロナに立ち向かう飲食店の事例⑥

小規模事業者持続化補助金

 新型コロナウイルスの影響で客数減少に見舞われたある飲食店が、小規模事業者持続化補助金に採択され、これを活用して逆境に立ち向かった事例をご紹介するシリーズの6回目は、様式2-1「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方について見て行きます。

1.小規模事業者持続化補助金<一般型>応募の全体像

 まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締め切り日までに送付する必要があります。

 様式1-1 小規模事業者持続化補助金事業<一般型>に係る申請書

 様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①

 様式3-1 補助事業計画書②

 様式4 事業支援計画書

 様式5 補助金交付申請書

 このうち、様式2-1と様式3-1が採択に大きな影響を及ぼします。

2.様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像

 今回は、様式2-1を見て行きますが、その構成は以下となっています。

 <応募者の概要>

 <経営計画>

 <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容

3.<補助事業計画>の全体像

 今回は、様式2-1の<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容を見て行きますが、その構成は以下となっています。

 1.補助事業で行う事業名

 2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容

 3.業務効率化(生産性向上)の取組内容

 4.補助事業の効果

4.「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方

(1)具体的に書く重要性

 小規模事業者持続化補助金の採択を狙うために意識したいことのひとつとして、応募の際のルールブックである公募要領に記載されている「審査の観点」が挙げられます(下図参照)。

 赤枠部分は、今回取り上げる「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の審査項目であることが見て取れます。特に、「③補助事業計画の有効性」1つめの◇「補助事業計画は具体的で」という表記は強く意識する必要があります。

 具体的に書くということは、補助事業で事業者が起こす行動が分かるということです。これが分からないと読み手は補助事業のイメージが湧きませんので、審査時に良い点数をつけるべきか否か迷ってしまいます。

 そこで、弊社では、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)で構成される5W1Hを明確に記載することをお勧めしていますが、以下で当事例ではどのように記載したのかを見て行きます。

(2)まずは概要を書く

 同店における今回の補助事業は、①店内改装、②チラシの作成と新聞折込、③店内POPの作成・掲示ですので、まずはこれらを行うことを述べました。その上で、①②③それぞれの5W1Hを以下のように記載しました。

(3)店内改装の5W1H

 店内改装については、以下を記載しました。

 ・いつ改装するのか

 ・誰が改装するのか

 ・何を改装するのか

 ・なぜ改装するのか

 ・どこを改装するのか

 ・どのように改装するのか

 この場合「何を」と「どこを」の切り分けに工夫が必要です。そこで「何を」の部分は「店舗の未使用スペースを客席へ改装する」とし、「どこを」の部分は「何を」で示した内容をさらに詳しく説明するべく、店舗のレイアウト図を用いて記載しました。

 また、前述の公募要領「③補助事業計画の有効性」3つめの◇「創意工夫の特徴」を意識し、自店なりに工夫した改装内容を「どこを」の部分に盛り込みました。

(4)チラシの作成と新聞折込の5W1H

 チラシの作成と新聞折込については、以下を記載しました。

 ・いつ作成/折込するのか

 ・誰が作成/折込するのか

 ・何を作成/折込するのか

 ・なぜ作成/折込するのか

 ・どこで作成/どこへ折込するのか

 ・どのように作成/折込するのか

 ここのポイントは「誰が」と「どこで」の切り分けです。「誰が」は、当店の誰がチラシ業者の誰に発注するのかといった観点で記載しました。これに対して「どこで」は、その発注会社名の記載とともに「どのエリアへ」折り込むのかを記載しました。また、「何を」の部分には「創意工夫の特徴」を盛り込みました。

(5)店内POPの作成・掲示の5W1H

 店内POPの作成・掲示については、以下を記載しました。

 ・いつ作成・掲示するのか

 ・誰が作成・掲示するのか

 ・何を作成・掲示するのか

 ・なぜ作成・掲示するのか。

 ・どこへ作成・掲示するのか

 ・どのように作成・掲示するのか

 ここのポイントは「どこへ」と「どのように」の書き方です。「どこへ」は店内のどこに掲示するのか、写真を盛り込んで記載しました。また「どのように」について、作成は業者が行いますので、掲示の仕方として、壁に粘着跡が残らない特殊なテープを使うことを示しました。さらに、こちらも「何を」の部分に創意工夫の特徴を盛り込みました。

 このようにして、「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を記載していきました。次回のコラムでは「4.補助事業の効果」を見ていきます。

5.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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