持続化補助金で店舗改装資金を調達した食品小売業の事例②

小規模事業者持続化補助金

 同店は、創業130年を迎える食品小売業です。酒類・飲料水、お菓子などの食品の他に、燃料、たばこ、日用品の小売を行っていますが、特に地酒を中心としたお酒の品揃えが豊富である点が大きな特長となっています。

 近年、店舗の老朽化が目立つようになるとともに、前面道路を通行する車両に訴求力のある看板を設置したいと考えるようになり、店舗改装を行うことにしました。

 同社では、その資金を小規模事業者持続化補助金で調達しようと考えたわけですが、採択をより確実なものとするべく、同社で作成した計画書をどのようにブラッシュアップするべきか、弊社にご相談をされました。

 結果として同社は、当該補助金に採択されるわけですが、そのブラッシュアップのプロセスを複数回にわたってご紹介していきます。

 下図は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の一般的な提出書類ですが、今回のコラムでは、下図、様式2-1<経営計画>内の「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方を解説していきます。

1.「顧客ニーズと市場の動向」の書き方

 同店が事前に記載されてきた内容は、【顧客ニーズ】【市場】【顧客の動向】という見出しの下、各内容がまとめられていました。これを踏まえて以下のようにブラッシュアップしていきました。

(1)適切な見出しを用いる

 当欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」です。これを素直に使うならば、見出しは【顧客ニーズ】【市場の動向】になるはずです。同店が予め記載してこられた見出しは【市場】と【顧客の動向】が重複しており、見出しを設定し直していただきました。

(2)「顧客ニーズ」を定義する

 同店が予め記載してこられた【顧客ニーズ】は概ね以下の内容となっていました。

①価格の安い第3のビール・パック酒などの購買が多い。

②近年は、日本酒・本格焼酎ブームである。

③規制緩和で各種業態が酒類販売免許を取得したことにより、ビール類の購買層がスーパーマーケットなどへ移動している。

④重量物の瓶ビールなどは宅配が多い。

⑤上級日本酒の購買層が増加傾向である。

 これらは顧客の動向であり、ニーズとは言えません。【顧客ニーズ】を弊社では「当社を利用して顧客が達成したい目的」と定義していますが、この定義に則って【顧客ニーズ】を記載するなら、例えば「①価格の安い第3のビール・パック酒などの購買が多い」ということから、顧客はどのような目的を果たそうとしているのかを検討し、記載する必要があります。

 この場合、「⑤上級日本酒の購買層が増加傾向である。」と併せて「第3のビール・パック酒は安さを重視し、上級日本酒は相応の価格で購入したいという品質に見合った価格を求めるニーズがある」とまとめることが可能です。

(3)統計データを用いる

 事前に同店が記載されてきた前述の【顧客ニーズ】ですが、「②近年は、日本酒・本格焼酎ブームである。」という記述は、【市場動向】として記載することが可能です。その際には、なぜブームと言えるのか、その根拠を、統計データを用いて記載することで説得力が高まります。

 具体的には、ここ数年の日本酒や本格焼酎の市場規模をインターネットで調べて記載することとなります。

 このようにして「2.顧客ニーズと市場の動向」をブラッシュアップしていただきました。次回は「3.自社や自社の商品・サービスの強み」を見ていきます。

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