持続化補助金の対象経費(ウェブサイト関連)2つの留意点

小規模事業者持続化補助金

 「クラウドサービス利用料はウェブサイト関連費ではなく、機械装置等費に計上できるんですか?」「ホームページの制作は委託・外注費にならないのですか?」このような質問をいただきました。

 今回のコラムでは、これらの質問に対する回答を通じて、ウェブサイトに関連する対象経費の留意点について見ていきます。

1.持続化補助金の対象経費(ウェブサイト関連)2つの留意点

 2022年3月29日に小規模事業者持続化補助金第8回の申請受付が開始されましたが、この回から「ウェブサイト関連費」が設けられました。従来の「広報費」は紙媒体であろうがウェブ媒体であろうが、広報に関連するものは全て当費目に計上することができました。

 ですが、第8回からウェブ媒体に関連する費用は「広報費」ではなく「ウェブサイト関連費」に計上することとなりました。さらに「ウェブサイト関連費」単独での申請は認められないこと、当費目の上限額は、補助金合計額の4分の1までという制限が設けられました。

 このことは、ホームページ作成で交付される補助金が50万円(一般型の場合)から12.5万円(一般型/通常枠の場合)になるということです。

 このような制度変更に伴う質問が湧いた場合、一番手っ取り早いのは、当補助金事務局に直接問い合わせることですが、冒頭の質問に対する弊社の回答を以下に示していきます。なお、回答の根拠は下記サイトからダウンロードできる「公募要領」になります。

 【商工会議所エリア】

小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助いたします。

 【商工会エリア】

小規模事業者持続化補助金【一般型】  Top

持続化補助金の対象経費(ウェブサイト関連)の留意点(1)クラウドサービスは「機械装置等費」に計上可能

 前述の「公募要領」は、当補助金申請のルールブックとも言えますが、これを見ると「機械装置等費」の対象となる経費例として、第7回までと第8回以降において以下の記述があります。

 今回は図のマーカー部分にあるように「クラウドサービス含む」という記述が追加されています。例えば、顧客情報をクラウドに保管し、インターネットを介して当該情報にアクセスすることで接客やダイレクトメール発送時に使用するといった使い方が想定され、その際の補助事業期間分の利用料が対象となると考えられます。

 また、補助事業計画の「 3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容」に当該クラウドサービスをどのように使用して業務効率化を図るのかを記載する必要があります。例えば、従業員が自宅に居ながらにしてクラウドにアクセスして、顧客にアプローチすることで、出社に要する時間を削減する場合などが考えられます。

 つまり、インターネットを使ったサービスの利用料は、ほとんどが「ウェブサイト関連費」に該当すると考えられますが、クラウドを利用した業務効率化の取組は「機械装置等費」に該当すると言えるでしょう。

持続化補助金の対象経費(ウェブサイト関連)の留意点(2)ホームページ作成費などを「委託・外注費」に計上するのは困難

 ホームページを作成する場合、自社で作成できないので外部にその作業を委託・外注するわけで、その費用は「ウェブサイト関連費」ではなく「委託・外注費」ではないのかという疑問が湧く方もいらっしゃると思います。ここで、第7回までの対象経費と第8回以降の対象経費の費目を見比べてみます。

 大きな変更点としては「③ウェブサイト関連費」が新たに設けられたことの他に「⑨専門家謝金」「⑩専門家旅費」が削除されたことが挙げられます。この専門家に対する謝金は第8回以降の公募要領においては「委託・外注費」の「対象となる経費例」として以下の記載があります。

 インボイス制度対応のための取引先の維持・拡大に向けた専門家(税理士 、公認会計士、中小企業診断士等)への相談費用

 つまり、わざわざ「⑨専門家謝金」を独立させずとも「⑪委託・外注費」に統合して問題ないという判断があったことがうかがえます。これは、第7回までは別であった「⑫委託費」と「⑬外注費」を「委託・外注費」としてまとめたことと同様の理由だと考えられます。

 このことは「②広報費」を「③ウェブサイト関連費」と分けた理由の裏返しとなります。ウェブ関連の広報費は広報費に含めると何らかの問題があると判断したからこそ、あえて「③ウェブサイト関連費」という費目を設けたと考えられますから、ホームページの作成費用を「委託・外注費」に含めることは認められないと考えられます。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金の対象経費のうちウェブサイトに関連する費目の留意点として(1)クラウドサービスは「機械装置等費」に計上可能、(2)ホームページ作成費などを「委託・外注費」に計上するのは困難、を述べました。今回の留意点を意識して、妥当な申請内容を検討していただければと思います。

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