価格戦略でタイヤを大量販売したガソリンスタンド3つのポイント

客単価向上

 価格戦略というと単に値下げをして、競合との差別的優位性を価格面で訴求しようという取り組みをイメージする方も多いと思います。ですが、価格「戦略」ですから、その価格設定にはきちんとした意図があり、それによって継続的に売れていく仕組みになっている必要があります。

 今回のコラムでは、この価格戦略でタイヤの大量販売を実現し、利益をしっかり確保したガソリンスタンドの事例をご紹介したいと思います。

価格戦略でタイヤを大量販売したガソリンスタンドのポイント1:安さの比較対象先を明確にする

 同店は、セルフサービスのガソリンスタンドですが、同店から車で5分程度の場所には、全国にチェーン展開するタイヤ量販店が立地しており、高い知名度・集客力を誇っていました。同店でガソリンを購入する顧客の多くはタイヤ交換をこの店舗で実施しています。

 タイヤメーカーA社製品を販売していた同店は、仕入先からの協力を得て、このタイヤ量販店の価格調査を行いました。当該タイヤ量販店の品ぞろえは莫大なものですので、同店が取り扱うタイヤメーカーA社製品だけの価格調査を行い、A社製のタイヤに関しては、タイヤ量販店よりも若干安く設定しました。

 そもそも消費者は、自分が乗っている車に装着しているタイヤの価格について、相場を知らないものです。よって「安い」と言われても本当に安いのか、どれだけ安いのかが分からず、結果として、安くしたもののそれほど販売が促進されない場合が散見されます。

 そのため、どこと比べて安いのかをしっかり訴求できるようにしたということです。そして、次の取組みを実施しました。

価格戦略でタイヤを大量販売したガソリンスタンドのポイント2:「まとめ買いがお得」を訴求する

 例えば、4本のタイヤのうち1本に釘が刺さり、パンクしたとします。釘が刺さること自体、タイヤが古くなっていたり、すり減っていたりするケースが多いので、パンク修理の依頼は、タイヤ販売のチャンスになります。

 そして、多くの車には4本のタイヤがついており、1本が古くなっていたり、すり減ったりしている場合は、4本ともそのようになっている場合がほとんどです。

 そこで、交換工賃込みの1本価格は前述のとおり、タイヤ量販店より安く設定しますが、4本価格は交換工賃込み1本価格の4倍から端数を切り、さらに安い価格設定とすることにより、1本のパンク修理ではなく、4本の交換へと話を展開しやすくしました。

 そして、タイヤサイズ別に交換工賃込みの1本価格と4本価格を一覧表にしたチラシを準備しておき、古くなったり、すり減ったりしたタイヤを見つけたら、交換の必要性を訴求するとともに、該当サイズに蛍光ペンでマーキングをして顧客に渡します。

 これを渡す際には「そこの量販店の価格より安いので比較してくださいね」と言います。実際は数百円ほどの価格差しかありませんが、このタイヤ量販店が有名であるが故に、安売りを訴求すればするほど、この台詞は効き目が高くなり、その場で交換に応じる顧客が増えました。

価格戦略でタイヤを大量販売したガソリンスタンドのポイント3:減ったタイヤを大量に見つけ出す

 どんな素晴らしい価格戦略も、その商品を必要とする顧客がいなければ販売に結びつきません。新品のタイヤを販売するには、古くなったり、すり減ったりしたタイヤを装着している車両を見つける必要があります。

 そこで、スタッフ自らが空気圧点検を無料で行います。セルフサービスのガソリンスタンドは多くの場合、空気圧点検もセルフサービスですが、これをスタッフが行うこととし、給油中の顧客に空気圧点検の声掛けをすることにより、古くなったり、すり減ったりしたタイヤを見つけることが可能となります。

 ガソリンスタンドでは、給油中に無料でエンジンルームの点検をする旨、声を掛ける場合がありますが、多くの顧客はそれに応じません。なぜなら、油外商品の補充や交換をお勧めする口実を与えることになるからです。

 これに対して、タイヤの空気圧点検には喜んで応じます。タイヤが古くなったり、すり減ったりさえしていなければ、店側はお勧めするものがないからです。併せて、顧客自身が空気圧点検を行うと手が汚れたり、空気を注入するバルブのキャップが上手く外せなかったりします。

 店舗スタッフが空気圧点検をすることにより、これらの問題が解決されるため、顧客満足度が上がるとともに、店側としては、タイヤの状態をしっかり点検することができるようになり、前述の価格戦略と相まって大量販売が実現できました。

 今回のコラムでは、価格戦略でタイヤを大量販売したガソリンスタンドのポイントとして、1.安さの比較対象先を明確にする、2.「まとめ買いがお得」を訴求する、3.減ったタイヤを大量に見つけ出す、を挙げました。

 単に安くするのではなく、どこと比べて安いのかを明確にし、買い上げ点数が増加しやすいようにし、それを必要とする顧客を見つけ出すことでタイヤが大量に売れるガソリンスタンドが増えることを期待しています。

メルマガ会員様募集中

 メルマガ会員様には、リアル店舗の現場経験20年以上、コンサルティング歴10年以上【通算30年以上のノウハウ】を凝縮した【未公開のコラム】や、当サイトに掲載したコラムの【解説動画URL】を優先的に配信しています。
登録はこちらから
↓↓↓

ロードサイド経営研究所メールマガジン登録フォーム(無料)

電子書籍のご案内

 1年で70人のアルバイトに辞められたガソリンスタンド店長が人材に全く困らなくなった理由:育成編~人材が育つ職場と人材に見放される職場の境界線~
2020年3月15日発行 定価1,055円

タイトルとURLをコピーしました