集客だけに注力しても効果のない美容室5つのパターン

経営の姿勢

 念願叶い、美容室のオーナーとなったA氏。開業前には200枚のポスティングを行い、オープンから15日が経過しました。完全予約制マンツーマンの施術体制をとっていますが、来店客は想定以上に少ない状況で、丸1日来店客ゼロの日もあります。

 このままでは、閉店せざるを得ないのではないかと不安を抱え、チラシの新聞折込みと地域情報紙への広告掲載を考えていますが、他に何かやった方が良いことがあるのか、というご相談に触れる機会がありました。

 このような集客策含む、販売促進戦略に関するご相談は非常に多いわけですが、今回のコラムでは、販売促進戦略だけを充実させても効果的ではないパターンを見ていきます。

効果のないパターン1:経営理念がないパターン

 経営理念とは「自店は何のために存在しているのか」という問いに対する答えです。

 「あなたは何のために生きていますか」と問われて即答出来る人はそれほど多くないと思います。逆にその答えが「人類を救うため」という壮大なものだったり、「風呂上がりのビールを飲むため」というお酒を飲めない人からするとつまらないものだったりしても、即答できるところに強さがあります。

 「あなたの美容室は何のために存在していますか」という存在意義を問われた際に、即答できる答えがあるかどうか、これによって事業の強さが違ってきます。興味深いのは、経営理念が経営者の腹落ちするものとして、しっかり決まるとそれだけで顧客の来店が促進されるケースが少なくないことです。

効果のないパターン2:ターゲットが不明なパターン

 顧客として誰をターゲットとしているのかが明確ではないパターンは、八方美人的な店舗となり、特徴が訴求できず、集客に繋がりにくくなります。

 冒頭の美容室では、当初200部のポスティングができる範囲に居住する方をターゲットとしていましたが、チラシの新聞折込みや地域情報紙で告知範囲を広げようとしています。これをどこまで広げるのかをまず検討します。

 その他に、どの年代を狙うのか、女性オンリーなのか男女とも受け付けるのか、所得はどの程度の層を想定しているのか、どのような家族構成の人を狙うのか、なども挙げられます。なお、昨今は、ライフスタイルや価値観といった定量的に表せない指標でターゲットを定めて成功を収めるケースも多くなっているようです。

効果のないパターン3:顧客ニーズを検討していないパターン

 顧客は自身が抱える課題を解決したくて美容室に来店します。この「課題を解決したい」が顧客ニーズです。

 顧客は、単に髪を切りたくて美容室に来店するのでしょうか。美容室に来ることによって、梅雨時に広がってしまいがちなヘアスタイルをどうにかしたい、癖毛をおしゃれにまとめたい、髪にツヤを与えたい、癒やされたい、自分にご褒美をあげたい、など様々な顧客ニーズがあるはずです。

 重要なことは、その数ある顧客ニーズのどれに当店は「専門的に」応えることができるのか、ということです。これが明確になっていないと、やはり店舗の特徴を打ち出すことができず、どんなに販売促進戦略を充実させても効果は限定的になってしまいます。

効果のないパターン4:差別的優位性がないパターン

 競合と比べて、当店は何が優れているのかという差別的優位性は、品質・価格・スピードの観点から検討します。他店よりも仕上がりが雑、価格は高い、待ち時間も施術時間も長い、ということであれば、集客は困難となります。

 反面、これだけは負けない、というものがあれば、それは店舗の特徴となり、集客に繋がります。例えば、価格は高い、待ち時間も施術時間も長い、ただし、ヘアカラーの技術は超一流であれば差別的優位性となり得ます。

効果のないパターン5:マーケティングミックスの整合性がとれていないパターン

 マーケティングミックスとは「製品戦略」「価格戦略」「チャネル戦略」「販売促進戦略」の4つを指します。

 美容室はサービス業ですので、製品戦略を考える場合は、カットやカラーなどの施術にどのような特徴を持たせるのかを検討します。

 価格戦略は文字通り、いくらで提供するのかを検討します。競合と合わせるのか、低価格の大衆路線で行くのか、高価格の高級路線で行くのか、といった点を検討します。

 チャネル戦略は、出張での施術はするのか、ヘアケア製品を販売するのであれば、どこから仕入れるのか、といった「場所」に関する点を検討します。

 ここまでを定めてから、集客策などの販売促進戦略を検討します。例えばマーケティングミックスを以下のように定めたとします。

 製品戦略:丁寧に時間をかけたカットの施術
 価格戦略:競合よりも圧倒的に安い1,000円
 チャネル戦略:寝たきりの高齢者に対応するために出張施術にも対応
 販売促進戦略:チラシ20,000枚を新聞折込みで訴求

 この組み合わせは、高級な施術を安価かつ出張が困難な広範囲に訴求するので、整合性が取れていません。製品戦略として、提供する施術にあわせた各戦略を検討する必要があります。

 今回のコラムでは、美容室が集客だけに注力しても効果のない5つのパターンとして、1.経営理念がないパターン、2.ターゲットが不明なパターン、3.顧客ニーズを検討していないパターン、4.差別的優位性がないパターン、5.マーケティングミックスの整合性がとれていないパターンを挙げました。

 集客に悩む美容室は、パターン1から順番に検討をして、来客が増える仕組みを構築していきましょう。

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