低感染リスク型ビジネス枠の採択ポイント:小売業の事例③

小規模事業者持続化補助金

 小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>は、昨年度に創設された<コロナ特別対応型>に変わるものとして今年度に創設され、募集が始まっています。この<低感染リスク型ビジネス枠>が<コロナ特別対応型>と大きく違うのは、その補助事業の実施により「対人接触機会の減少」が実現できること、その補助事業が「新たな取組」であることが求められている点です。

 ただし、応募の際に作成する計画書のフォーマットに大きな変更はありません。そこで、当コラムでは「対人接触機会の減少」「新たな取組」に該当し、<コロナ特別対応型>に採択された小売業の事例を通じて<低感染リスク型ビジネス枠>の採択ポイントを検証していきます。

 今回取り上げる小売業は、コロナ禍でネット通販事業を新規に立ち上げるために、小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>を活用して、①ホームページのリニューアル、②在庫状況をホームページに即時反映できるシステムの開発、③検索連動型広告の出稿を行いたいと考え、計画書を作成し、当該補助金に応募しました。

 結果として、それら補助事業は採択されたわけですが、今回のコラムでは<経営計画> 「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」に該当する部分を同社がどのように記載していったかについて見ていきます。

1.<経営計画>「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」の書き方

(1)売上に関する影響を記載する

 まず「新型コロナウイルス感染症の影響」を見ていきますが、同社はコロナ禍で売上がどのようになったのかを記載しました。というのも、売上高は企業経営において重要な指標となるからです。

 経営は資金がなければ継続できませんが、そのためには利益が必要です。利益がなくても借入金で凌ぐことはできますが、その返済も利益があってこそなされるものです。そして、その利益は原則として売上がなければ発生しないものです。

 さらに売上高は次の売上高を呼びますから、マーケティングに繋がりますし、売上があるということは経営者や従業員が仕事をこなしたことですから、経験値が向上し、従業員教育に繋がります。

 このように売上高は多くの経営課題を潰しますので、新型コロナウイルス感染症の影響を説明する場合は、売上高がどうなったのかを述べることに妥当性があると考えています。

(2)定量的に記載する

 売上高は、数値で表すことができる定量的データです。よって、単に売上が落ちたと記載するのではなく、どの程度落ちたのかという点を金額や割合で記載すると説得力が向上します。

 同社の場合、5月の締切に合わせて応募しましたので、直近の4月における売上高が前年同月と比べて50%ダウンしたことを記載しました。

(3)売上減少の要因を記載する

 同社が取り扱う商品はイベントに関連するものが多いわけですが、コロナ禍で人の移動を防いだり、密閉・密集・密接という「3密」を避けたりするために、イベントが軒並み中止となり、売上が低下してしまいました。

 また、同社で働く方は、小さなお子様を持つパートタイマーの主婦が多いわけですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、お子様が通う学校や幼稚園が休校・休園となった結果、お子様の面倒を見るために出社できなくなった方も相応数発生しました。これにより、営業時間の短縮を余儀なくされたことも売上低下の要因となりました。

 新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、何が起こって売上が落ちたのか。この「何が起こって」を分析して記載することが重要となります。

 このようにして、同社は「新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」に該当する部分を記載しましたが、冒頭で述べたとおり、同社は<コロナ特別対応型>に応募したので、「新型コロナウイルス感染症の影響」を記載するだけで足りました。

 ですが、<低感染リスク型ビジネス枠>では、これに加え「既に取り組んでいる対策」も記載する必要がありますので、減少した売上を回復させるための取組みの他に、感染者を発生させないようにするための取組みも記載すると良いでしょう。

 なお、次回のコラムでは、これに続く<補助事業計画>「2.補助事業の内容」の書き方について見ていきます。

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