ピグマリオン効果とゴーレム効果~マーケティングと人材育成に役立つ心理学~

コラム

 この記事では、ピグマリオン効果とゴーレム効果について、具体例なメリット、注意点などを解説していきます。

 この記事の対象者は、ガソリンスタンドの経営者・管理職の他、マーケティングや人材育成に関心のある方です。

 この記事を最後まで読むと、ピグマリオン効果とゴーレム効果の違いや、ピグマリオン効果の活用法を理解できるだけでなく、他者のモチベーションを高めるコミュニケーションのコツも学べます。

■ピグマリオン効果とは?

 以前、以下の記事でピグマリオン効果を活用して、人材の能力をより引き出す手法について述べました。

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 今回の記事では、まず、この効果を活用して、顧客の購買意欲を高める方法と、ピグマリオン効果の反対概念であるゴーレム効果で、顧客の購買意欲を低下させない方法を述べていきます。

 ピグマリオン効果は、他者からの期待が相手の能力や成果に影響するという効果です。ギリシャ神話に登場するピグマリオン王が、女性の彫像に恋をしたという物語から名付けられました。

 アメリカの心理学者ローゼンタールが、教師からの期待が生徒の成績に影響するという実験で発見しました。この効果は、教育やビジネスなどの場面で活用できます。詳しくは冒頭でご紹介した記事をご覧ください。

 では、このピグマリオン効果をマーケティングに活用しているガソリンスタンドの事例を見ていきます。

■ピグマリオン効果の活用法

 あるセルフサービスのガソリンスタンドでは、顧客が乗ってきた車両のナンバープレート情報で、顧客管理をしています。スタッフは、接客の都度、今回の接客内容や車両のナンバープレート情報をメモし、店頭に置いたノートパソコン内のエクセルに入力します。

 そして、ご来店いただいた顧客と接客する前に、ナンバープレート情報をエクセルのフィルター機能で検索し、これまでの接客履歴に基づいて接客をします。この手法については、以下の記事をご参照ください。
https://note.com/roadside/n/n418c4c33c338

 例えば、前回来店時に、タイヤを交換する必要があることを店長から提案され「今日は急ぐので次回に」と言って、給油だけで退店した顧客が、今回、給油のために立ち寄ったとします。

 この顧客に、今回接客するスタッフが、エクセルの検索結果から、前回の接客内容を把握した上で接客すると、「前回、うちの店長がタイヤ交換を勧めたと思うのですが」という切り出し方を用いて接客することができます。

 この場合、今回接客するスタッフは、この車両が、タイヤ交換が必要であること、前回店長がタイヤ交換を勧めてくれたことを踏まえ、お客様に対して「買ってくれるはず」という期待を抱いた上で、接客に当たることが想定されます。

 ここで抱く期待は、接客時の言葉や態度に表れるので、お客様に対してポジティブな対応ができるようになり、販売成果につながる可能性が高まります。これが、マーケティングにピグマリオン効果が発揮できる事例と言えます。

 逆に、このような顧客のナンバープレート情報や接客履歴を参照する方法がなく、接客した人だけがそれを覚えているような属人的な販売の場合を考えてみます。

■ゴーレム効果とは?

 この場合、前回接客したスタッフが、その顧客との接客内容を覚えていれば、ピグマリオン効果を発揮した接客が可能です。しかし、それ以外のスタッフは、顧客に対して期待や関心を示すことが期待できず、ゴーレム効果が発揮されてしまうリスクがあります。

 ゴーレム効果は、ピグマリオン効果とは逆に、周囲からの期待や評価が低いと、その人のパフォーマンスや成果が下がってしまう心理学的現象です。

 ゴーレム効果という言葉は、ユダヤに伝わる泥でできた人形の名前からきています。ゴーレムは主人の命令に従って動きますが、額に書かれた文字を消すとただの泥になってしまいます。このように、周囲の期待や評価によって能力が変わってしまうことからゴーレム効果と呼ばれます。

 よって、顧客が当店でどのような接客を受けたのか、過去の履歴を検索できる仕組みは、スタッフが販売成果を出すために、心理学的にも有効と言えます。

 反面、顧客のナンバープレート情報を検索しても、何も出てこなかい場合も多々あります。以下では、その場合にどうするべきかを見ていきます。

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