生き残るガソリンスタンドにおける2つの方程式

戦略の考え方

 先日、埼玉県北部の公的機関で中小企業経営者向けの登壇をしてきました。登壇テーマは事業計画の策定、主に財務面に関する内容でしたが、登壇中に資金繰りの話をしてきました。

 中小企業の経営者の中には、自社が赤字なのか黒字なのか分からない方がいます。このような方の関心は資金繰りに向いています。資金が枯渇すれば、黒字でも会社は倒産しますが、逆に資金が回っていれば、さしあたっては、赤字でも会社の事業は継続できます。

 この「さしあたっては」という言葉がポイントで、当面は「生き延びること」はできても、赤字が続けば資金繰りはいずれ行き詰まり「生き残ること」は困難になります。

 赤字とは「入ってくる金額」よりも「出ていく金額」が大きい状態であり、赤字からの脱却方法は2つの方向から検討する必要があります。今回のコラムでは、ガソリンスタンドを例に取り上げ、生き残るための2つの方程式を見ていきます。

方程式1:入ってくる金額を減らし、それ以上に出ていく金額を減らす

 簡単に言ってしまうと、売上を減らして、それ以上に経費を減らそうという考え方です。家族経営の小規模なガソリンスタンドに多く見られる考え方です。

 ガソリンや軽油といった燃料油以外の商品、例えばエンジンオイル、タイヤ、洗車などを油外商品と呼びます。これら油外商品の販売を止めれば「入ってくる金額」は減りますが、これに対して「出ていく金額」がそれ以上に減るのであれば、生き残りのためにはこれを実施するべきという考え方です。

 ただし、ここでいう「出ていく金額」には人件費が含まれます。これまで実施していた油外商品の販売を止めることで売上を減らし、それ以上に経費を減らすべく、人員を減らすということは、雇用を守ることができなくなります。社会的責任を担う中小企業として、このことをどう捉えるかは経営者の意思決定に委ねられます。

方程式2:出ていく金額を増やし、それ以上に入ってくる金額を増やす

 こちらを簡単に言ってしまうと、費用を使ったり、投資をしたりして、その金額以上に売上を得ましょう、という考え方です。

 ここでのポイントは、費用対効果と投資対効果を検討することです。費用対効果とは文字通り、使う費用に対してどれくらいの効果があるのか、投資対効果とは、こちらも文字通り、投資に対してどれくらいの効果があるのか、ということであり、それぞれを切り分けて検討する必要があります。

 費用対効果を検討するべき場合とは、短期的かつ一時的な効果を求める場合です。対象となる費用の例として、アルバイトスタッフの募集に使う看板代や、タイヤキャンペーンのチラシといった広告宣伝費などが挙げられ、どちらかというと現場寄りの管理職が担います。

 これに対して、投資対効果を検討するべき場合とは、中長期的かつ持続的な効果を求める場合です。例えば、ホームページの作成・更新費、洗車機の入れ替え、人材の教育費などが挙げられます。こちらは金額もそれなりになりますので、どちらかというと経営寄りの管理職・経営者が担います。

それぞれの検証方法

 費用対効果を検討する場合は、いくら使ったらいくら効果が出るかという観点だけでなく、その費用を使わなかったら、どれだけ機会損失が出るのかといった点からも検討します。

 また、投資対効果を検討する場合は、まず、効果を見込む期間を何年間とするのか、期間設定を行います。その上で、費用対効果同様、いくら投資をしたらいくら効果が出るかという観点だけでなく、その投資を行わなかったら、どれだけ機会損失が出るのかといった点からも検討します。

 ここでのポイントは「出ていく金額」という費用や投資額は正確に分かりますが「入ってくる金額」という売上高は、その時点では正確には分からないということです。

 そこで意思決定をする場合は、現場で働くスタッフや店長、外部の仕入先、製造元、異業種の先輩経営者などからヒアリングをしたり、各種統計データを調べたりして情報収集を行い、意思決定をすることとなります。

 誤った意思決定をする典型的なパターンは情報が不足しているパターンです。また、その意思決定には、ご自身の経験や勘、嗅覚といったものも反映されますが、質と量が充実した情報のもとに、経験・勘・嗅覚を活かすことが重要であり、どちらか一方に頼ってしまうことは失敗の可能性を高めます。

 今回のコラムでは、生き残るガソリンスタンドにおける2つの方程式として、
 1.入ってくる金額を減らし、それ以上に出ていく金額を減らす
 2.出ていく金額を増やし、それ以上に入ってくる金額を増やす
 を挙げました。どの方程式をどの程度活用するかは、その経営者次第ではありますが、考え方の参考にしていただければと思います。

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