新規事業のアイデアを出すために

経営革新計画

ある質問から見えてくること

 先日、ある方とガソリンスタンドの広告についてお話をする機会がありました。その中で、ガソリンスタンドの店頭で看板などを用いて他店の広告を行い、広告収入を得られないものかというご質問がありました。この発案の有効性はともかく、このポイントは「自店」の広告ではなく「他店」の広告である点です。

 タイヤやエンジンオイルなどガソリン以外の商品(油外商品)は利益率が高く、ガソリンスタンドは収益性強化のために、この販売に力を注いできました。よって、店頭看板においてもそれらの商品の広告、つまり「自店」の広告を行うケースがほとんどだと思います。

 ですが、この方はそのような業界の慣習に囚われずに、ガソリンスタンドが収益を上げるには、という観点から自由に発想をすることができていました。なぜ囚われていないのか。ガソリンスタンドのことをよく知らないからです。この時、私は次のことを思い出しました。

「術」の付く言葉

 私はセミナーなどの登壇で、よく戦略と戦術を取り上げ、受講された方々に戦術の「術」という文字が含まれた言葉を考えていただくワークをします。

 すると「技術」「手術」「柔術」「魔術」「忍術」「芸術」「話術」「剣術」などが出てきます。その都度ホワイトボードに受講された方々から出していただいた言葉を書いていき、出尽くした段階で、それまで出していただいた「術」の付く言葉を見ていただくと、全てが2文字で後ろに「術」が付く言葉となっていることに気付きます。

 私は「術」という文字が含まれた言葉を考えてくださいと言いましたが、2文字であったり、後ろに「術」の付く言葉だったりを指定はしていません。にもかかわらず、ご自身が勝手に思考の枠組みやルールを決めてしまうため、2文字で後ろに「術」の付く言葉を考えてしまいます。

 ここで、思考の枠組みやルールを持つことを否定する気はありません。大事なことは、自分の持つ枠組みやルールと違った枠組みやルールを持つ人がいるということです。そのような方の意見を活用すれば「読心術」「術後」「技術士」といった自身には思いつかなかった言葉が出てくる可能性が高まります。では、自分と違った枠組みやルールを持つ人とはどんな人なのでしょうか。

自分と違う人

 既存事業の需要が低迷しており、新規事業を打ち立てたいものの、そのアイデアがなかなか浮かばない経営者は、自分と同じ年代、業界、価値観の人に相談しても新規事業のアイデアを得ることができる可能性は高くありません。

 そのようなアイデアを得たいならば、自分と全く違う人の話を聞いてみることです。例えば経営者にとって、新人のアルバイトスタッフはキャリアが違います。車通勤の経営者にとって、車を持っていない人はライフスタイルが違います。男性経営者にとって女性は性別が違います。

 そのような方々からいただくご意見全てが新規事業に結び付くとは限りませんが、凝り固まった業界の常識を打破できる新規事業が生まれる可能性は高まります。業績悪化に苦しむ経営者は、普段は交流のない方々の話を聞きに出掛け、多面的な視野を身に着けていただくことを強くお勧めします。

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