日本マクドナルドで着服の事件がありました。その額なんと7億円。会社の管理体制が問われる事件です。桁は違いますが、ガソリンスタンドにおいてもレジ金の過不足が発生する場合があります。特に本来あるべき現金がなぜか足りない場合です。今回のコラムでは、そんな状況を防止するための方策を見ていきます。
レジ金不足額30万円!
あるガソリンスタンドでアルバイトとして働くA君は、誰も見ていない隙を見計らい、ほんの出来心でレジから1,000円を自分のポケットに入れてしまいました。
恐る恐る翌日出社してみると、特に店舗内に変化はなく、レジ金が足りないと騒いでいるわけでもありません。そこで、また隙を見計らい、1,000円をポケットに。翌日出社してみると、やはりレジ金不足で騒いでいるわけでもありません。
では、今度は5,000円を、その次は10,000円を、という形でエスカレートしていき、着服額が膨らんでしまいました。結果としてその額は30万円となった時点で、さすがにおかしいと思った店長が経営陣に相談し、調査を開始するとアルバイトA君があっさり不正を認めました。
ここで、アルバイトA君は当然責められるべきではありますが、店舗の管理体制は責められる必要はなかったのでしょうか。
割れ窓理論
割れ窓(ブロークンウインドウ)理論は、廃校となった校舎の窓1か所が割られると次々に他の窓も割られてしまう事例から、小さな不正を徹底的に正すことで、大きな不正を防ぐという考え方です。
つまり、レジ金が不足したら、それがいくらであっても手を打つ必要があります。前述のガソリンスタンドでは、レジ金過不足を把握していたにせよ、それを正すことなく、結果として被害額を大きくしてしまったと言えます。
ではどんな打ち手があるのでしょうか。別のガソリンスタンドの事例を見ていきたいと思います。
情報公開の重要性
そのガソリンスタンドでは、3時間おきにレジ金の在高と現金売上をチェックするようにしていましたが、頻繁にレジ金の過不足が発生していました。過不足金額は社員が把握していましたが、アルバイトスタッフはそれを把握していません。そこで、店長はスタッフの休憩室にあるホワイトボードに、以下のようにしてレジ金過不足の結果を書くようにしました。
7:00~10:00 マイナス800円
10:00~13:00 マイナス 0円(累計マイナス800円)
13:00~16:00 プラス10円(累計マイナス790円)
このように開店から閉店までの間で、何時から何時までの間にいくら誤差が出たのかを示します。そのホワイトボードにはスタッフのシフト表も貼っていることから、誰が勤務している時間帯にいくら誤差が出たのかが一目瞭然となります。
店長によると、この取り組みによって、レジ金の過不足は激減したと言います。情報公開の重要性を認識させる事例です。
今回のコラムでは、レジ金の過不足を防ぐためにガソリンスタンドの事例を紹介しました。被害は小さいうちにつぶすことが重要ですが、そのためには、まず情報を共有することが必要です。店長などの管理者は積極的に情報開示に努めていただければと思います。
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