店員のマスク着用告知から生き残るガソリンスタンドを考える

経営の姿勢

 新型コロナウイルスの影響によりマスクが品薄となっています。街中や電車内を見回しても、マスクの装着率は上がっている印象です。

 そんな中、地元百貨店の入り口に冒頭の張り紙がありました。販売員がマスクを着用した接客に関しては賛否両論ありますが、この百貨店では、販売員のマスク着用を認めており、それは顧客にも販売員にもメリットがあることを述べています。

 このような説明があれば、販売員のマスク着用に否定的な顧客も、少しはその感情が和らぐでしょう。ガソリンスタンドにおいても、花粉の時期に花粉症のスタッフがマスクを着用して接客するべきか否かは議論になりがちです。なお、このテーマについては以下のコラムを参考にして下さい。
 もしガソリンスタンドで接客時のマスク着用が禁止されたら…
 ガソリンスタンドでマスクをしたまま接客するのは失礼なのか

 この百貨店は、しっかりとした説明を行って顧客の理解を求めていますが、今回のコラムでは「販売時の説明」という観点から生き残るガソリンスタンドを考えていきます。

押し売りされたと感じる理由

 ガソリンスタンドで押し売りされたという苦情は結構多いわけですが、なぜそのような苦情が多いかというと、交換する必要性とその価格にきちんとした説明がないことが挙げられます。無論、そのような説明がなくても顧客が納得して購入する場合もあります。販売員との関係性が構築されている場合です。

 よって、関係性が構築されていないうちは、なぜ交換しなければいけないのか、なぜその価格なのかをしっかり説明する必要があります。以下でそれぞれの説明の仕方を見ていきます。

交換の必要性に関する説明方法

 ガソリンスタンドのスタッフが持つ車の知識と、ユーザーが持つそれを比較すれば、一般にはスタッフが持つ知識の方が豊富なはずです。例えば、あるスタッフがエンジンオイル交換の必要性を説いたとして、その必要性がイマイチ腑に落ちないのは、顧客が車両やエンジンの構造を理解していないことが大きな要因として考えられます。

 ある店舗では、車両のエンジン内部が分かるスケルトンの模型を説明に使っていました。口頭だけの説明は、聴覚にしか働きかけていません。視覚にも働きかけることで理解は深まりやすくなりますので、このような模型の他にポスターなどを活用して、構造を理解していただいた上で、交換の必要性を説明するべきでしょう。

価格に関する説明方法

 エンジンオイル交換の必要性にご納得いただき、交換作業に応じていただいても価格が高すぎると感じた場合、顧客は押し売りされたと感じます。

 よって、まずは全部でいくらかかるのか、そして、なぜその価格なのかという説明が必要です。多くの場合、競合他社との比較で価格を設定しているはずですから、他店の価格に基づく相場をお伝えする必要があります。競合店の価格一覧表を作成することも一考です。

 そして、きちんとした説明や接客態度があれば、相場より多少高くても交換に応じていただけるのではないでしょうか。

 また、卸価格表を見せて、これに○円の利益を乗せているとオープンにしてしまうことも一考です。私はガソリンスタンド運営会社に勤務し、現場で店長をしていた頃に、タイヤ販売ではこの手法を使っていました。これが成功する理由は、隠し事をしないという情報開示の姿勢だと感じています。

 今回のコラムでは、店員のマスク着用告知から生き残るガソリンスタンドの条件として、しっかりとした説明が重要であること、説明するべき内容は、交換の必要性と価格設定の根拠であることを述べました。販売における説明をしっかり行って顧客の支持を得ていきましょう。

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