小売店舗におけるクレジットカードを使用した不正の手口

経営の姿勢

 ネット通販や交通系電子マネーの普及、外国人観光客の増加などを背景に、キャッシュレス社会が進展しつつあり、今や、子どもへのお小遣いも仮想通貨が活用されるようになりました。よって、クレジットカードの存在感は今以上に大きくなるものと考えられます。
 そのような流れの中で、クレジットカードを悪用した不正は枚挙にいとまがありません。そこで、私がかつて関わったガソリンスタンドで遭遇したクレジットカード絡みの不正をご紹介します。

 最近はセキュリティが強化されているため、ご紹介する手口が発生する可能性はだいぶ下がったとは思いますが、不正の手口を知っておくことで、より確実な対応が可能となりますので、ガソリンスタンドに限らず多くの小売店で参考にしていただければと思います。

遅番と早番が違う点に着目した不正の手口

 そのガソリンスタンドの営業時間は、朝7:00~夜11:00でしたが、夜11:00の閉店間際にバッテリーを購入しにきた顧客がおりました。
 その顧客が購入したバッテリーの価格は15,000円ほどでしたが、クレジットカードで支払いをしたその顧客は、手書き領収書の発行をしてほしいと言いました。それを受け、遅番のスタッフは手書き領収書を発行し、顧客の退店を待って閉店しました。

 翌日、別のスタッフが朝7:00に開店した直後に来店した顧客が、昨日お宅で買ったバッテリーのサイズが合わないから返しに来たので払ったお金を返して欲しい、と言いつつ、持ってきたバッテリーと領収書を差し出しました。
 早番のスタッフからすると、そのバッテリーは自店で取り扱っているものであり、領収書も自店で発行したものです。よって代金を現金で返却しました。

 後ほどわかるのですが、閉店間際に使用したクレジットカードは盗難カードであり、まだクレジット会社に盗難届が届いておらず、使用できてしまったようです。
 そして、遅番の社員が領収書に「クレジットカード払い」と書かなかった点が、現金を盗られてしまったポイントとなりました。

 よって、クレジットカードで支払いをした顧客が、クレジットカード利用明細票の他に手書きの領収書を求めた場合、現金払いなのか、クレジットカード払いなのかを明記することで、返品時に返金するべきか、クレジットカードで売上の取り消しをするべきか判断できることとなります。

分割処理を求める不正の手口

 別のあるガソリンスタンドで、タイヤを4本購入した顧客がいました。購入したタイヤは、車両に付け替えるのではなく、持って帰りたいと言います。そして、支払いはクレジットカードでということでした。タイヤ4本の購入ですので、会計金額はそれなりに高額でした。
 クレジットカードを利用する際に、1回の買物で、ある一定金額を超える額の商品を購入しようとした場合、クレジットカード会社からの承認が必要となります。
 しかし、スタッフが、この顧客からお預かりしたクレジットカードをPOSに読み取らせて売上を立てようとしても、クレジット会社から承認が下りません。承認が下りないということは、それなりの理由があるわけです。

 ところが、間の悪いことに、このガソリンスタンドはタイヤキャンペーンを実施しており、目標の販売本数まであと数本でした。そのため、スタッフとしてはどうしても売りたいという心理がありました。
 とはいえ、売上が立たなければ実績になりませんので、クレジットカードが使えない旨を顧客に伝えると、顧客側も心得たもので「1回の買物について一定金額を超えたから売上が立たないのであれば、4本まとめて売上を立てるのではなく、1本ずつ売上を立てれば良いのではないか?」と言われ、それに従ってしまいました。

 後ほどわかったのは、そのクレジットカードは盗難カードだった、ということであり、クレジットカード会社から承認が下りないからといって、少額に分割して売上を立てることは、不正に加担したと見なされ、クレジット会社から貴店に代金を払うわけにはいかない、ということでした。

 よって、クレジット会社から承認が下りない場合は、売上を小分けにすることは全社的に禁止とし、徹底することが必要となります。

 以前もご紹介しましたが、クレジット取引セキュリティ対策協議会によると、カード情報などを不正に利用した被害総額は、2016年は約88億円(前年比23.1%増)だったものが、2017年1月から9月までの9か月間には約130億円(前年同期比92.2%増)となっています。
 小売店側としては、クレジットカードを通じた不正を最小限にするべく、様々な手口を知っておく必要性があると言えるでしょう。
 【参考記事】クレジットカードを悪用する店員のニュースを自店にどう活かすか

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