「認める」と「褒める」の違い

承認は事実、賞賛・評価は解釈

 昨日のコラムで承認によるモチベーションの向上について述べましたが、承認は事実を述べることです。解釈の余地がない事実を述べるから相手は認められたと感じるのです。

 これに対して、こちらのコラムで述べたように、賞賛や評価を与えることは、相手の解釈によっては、「自分のことを上手く使おうとしている」と捉えられ、却ってモチベーションを落とすことがあります。

働きぶりを見ることができない

 かつて、5階建て店舗の事業責任者から「働くフロアの違うスタッフを承認するにはどうしたらよいのか」という質問を受けたことがあります。

 いつも同じフロアで働いていれば、その働きぶりが分かりますから事実を述べることは可能だけれども、違うフロアで働いているとその働きぶりが分かりませんので事実を述べることが困難である、ということです。本社と店舗が別の場所にある場合に、本社の経営陣が店舗スタッフを承認しようとする場合も同じことが言えると思います。

安易な評価・賞賛は危険

 かつて、私が勤務していたガソリンスタンドは、やはり、本社と店舗が違う場所にありました。

 真冬のガソリンスタンドは、とても寒いです。基本的に外でお客様を待っていますので、手はかじかみ、目が潤んできます。そんな中、本社の経営陣が店舗を巡回しに車で来店することがあります。

 経営陣の車が入店し、店舗スタッフが出迎えます。車が停まり、ドアが開き、経営陣が降りてきます。車内の暖房で暖められた空気も一緒に流れ出てきます。出迎えた店舗スタッフは思います。「暖かい!」

 しかし、そのことは口に出さず、「社長、お疲れ様です」と挨拶をします。

 それを受けて、社長は「寒い中、お疲れさま」と返します。店舗スタッフはこの言葉をどう捉えるでしょうか。「ねぎらいの言葉を掛けてくれてありがたい」と思う方もいますし、「こっちが凍えそうになって仕事しているのに、ぬくぬくとした車内で移動ですか。いいご身分ですね」と思う方もいるでしょう。これらの解釈が本人のモチベーションにどんな影響を及ぼすのでしょう。

 前者の解釈は、モチベーションが向上し、後者の解釈は、モチベーションが低下します。よって、安易な評価や賞賛は、モチベーションを落とすリスクが伴うと言えるでしょう。

 とはいえ、経営陣は店舗スタッフの働きぶりを直接見ることができません。そのような場合はどうしたらよいのでしょうか。

I(アイ)メッセージとYou(ユー)メッセージ

 ここで知っておくと役立つのが「私は」が主語になる「I(アイ)メッセージ」です。例えば「私は、あなたはおしゃれだと思いますよ」「私は、あなたはお客様に尽くしたと思いますよ」というメッセージです。「私はあなたのことをこう思った」という「事実」を伝えるのです。

 これに対して、「あなたは」が主語になるのがYou(ユー)メッセージです。例えば「あなたは、おしゃれですね」「あなたは、お客様に尽くしましたね」というメッセージです。これらは、解釈の幅があるメッセージです。

 賞賛・評価をすることは、決して否定されるものではないはずです。しかし、「褒めて伸ばす」という言葉がある反面、必要以上に褒めてしまうことで、却って相手をけなすことになったり、冷やかすことになったりする「褒め殺し」という言葉もあります。相手の解釈によってモチベーションへの影響が異なるリスクを認識しておくべきでしょう。

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