その店舗がコーチングで顧客からのセクハラを撲滅できた理由

コーチング

 「また、おっぱい揉まれちゃいましたよぉー」あるガールズバーで働く女性スタッフが、泣き出さんばかりの表情で男性店長に話しました。

 このようなセクハラをするのは、ある特定の年配男性客2名。女性スタッフの隙をついておっぱいを揉むのです。女性スタッフが怒っても揉む。店長が注意しても揉む。オーナーがやんわり注意しても揉む。

 たちが悪いのは、その男性2名は、その店の出資者であり、簡単に出入禁止には出来ないことでした。今回のコラムでは、このセクハラを撲滅させた事例を通じて、コーチングの効果について見ていきます。

セクハラ対策会議で気付いたこと

 セクハラ対策のために、店長と女性スタッフ10名で実施した会議で見えてきたのは、セクハラをまったく受けていない女性スタッフもおり、セクハラを受けているのは、特定の女性スタッフ数名だということでした。

 このセクハラを受けている特定の女性スタッフだけが特別美人だとか、巨乳だということは決してありませんでした。しかし、以下の共通する特徴がありました。

 ・顧客の話を聞くよりも自分の話をしたがる
 ・顧客の話に対して「ヤバいー」か「ウケるー」しか言わない

 コミュニケーション能力の低さが、顧客から軽く見られているとともに、話のやり取りがつまらないから、おっぱいを揉むなどのちょっかいを出されているのではないか、という仮説が成り立ちました。

 そこで、ある女性スタッフが「さ・し・す・せ・そ作戦」を提案しました。これは、合コンでよく使われる手法なのだそうです。

返しは「さ・し・す・せ・そ」プラス質問で

 「さ・し・す・せ・そ」とは、以下の返しの頭文字をとったものです。

 「さすがですね!」
 「知りませんでした!」
 「ステキ!」「スゴイ!」
 「センスいいですね!」
 「そういうのって〇〇さんの長所ですよね」

 「ヤバいー」と「ウケるー」を封印し、ひたすら、ひたすら「さ・し・す・せ・そ」で返し、得た回答を元に質問をする。その回答に「さ・し・す・せ・そ」で返し、質問をする。この繰り返しが「さ・し・す・せ・そ」作戦です。例えば以下のようなやり取りです。

 顧客  「今日は昼ご飯を食べる時間がなくてね」
 スタッフ「スゴイ!昼ご飯食べずに…お腹空いたでしょう?」
 顧客  「いや、大丈夫。忙しくて昼食抜きの日って、たまにあるんだよね。」
 スタッフ「知りませんでした!疲れたでしょう?」
 顧客  「結局、部下に先に食事摂らせていたら、オレが食べる時間無くなっちゃってね」
 スタッフ「そういうのって、〇〇さんの長所ですよね」

 このようなやり取りが出来るように練習をさせ、男性店長がひたすら、ひたすらポジティブなフィードバックをするようにしました。

 これを10日間ほど繰り返していると、セクハラを受けている女性スタッフの言葉遣いが変わってきました。言葉遣いが変わってくると仕草が変わり、仕草が変わってくると佇まいが変わってきました。佇まいが変わってくると、スタッフによっては、色気まで出てきました。

セクハラ客の変化

 練習の効果は、少しずつ、少しずつ、そして確実に姿を現しました。セクハラ客は、過去の武勇伝を楽しそうに楽しそうに語るようになりました。併せて、お酒を飲むペースも上がりました。結果として、いつもより早く酔い、べろんべろんになって帰っていくのです。

 つまり、顧客の滞在時間は短くなったのに、売上が上がるようになりました。そして、2週間ほど経過したある日のこと。

 ある女性スタッフが、顧客が退店した後に、店長に興奮気味にセクハラ客の発言を報告に来ました。その発言とは「この店だけだわ、オレに興味を持ってくれるのは。今までおっぱい揉んだりして悪かったな。もうしないからさ。」というものでした。

事例に隠されているコーチングのスキルとは

 この事例は、コーチングの要素が満載です。「さ・し・す・せ・そ」で返し、質問をするには、相手の話を聴く必要があります。ここで傾聴のスキルが必要となります。

 「さ・し・す・せ・そ」で返した後には、質問のスキルが必要です。回答がイエス・ノーになるクローズドクエスチョンばかりでなく、イエス・ノーで返せないオープンクエスチョンも投げかけると、さらに効果は増すでしょう。

 また、練習に積極的に取組んでもらうために、店長はポジティブなフィードバックを与えました。これは承認のスキルです。

 その店舗がコーチングで顧客からのセクハラを撲滅できた理由は、スタッフに傾聴と質問のスキルを身に着けさせるために、店長が承認のスキルをふんだんに活用したため、また、スタッフが身に着けた傾聴と質問のスキルにより、セクハラ客が自分のことを認めてもらいたいという、承認欲求を満足させることができたため、と言えます。

 この事例から、コーチングのスキルは接客業であるロードサイド店舗には必須のスキルだと言えるのではないでしょうか。

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