売上が厳しい店舗の店長はなぜ部下の話を傾聴できないのか

コーチング

 「山頂への到達を目指す場合、様々な目指し方があると思います。山のふもとから一歩一歩登っていく方法もあれば、ヘリコプターで山頂へ到達する方法もあるわけです。私は、コーチングというヘリコプターを手に入れて、山頂を目指しました。みなさんもご自身の武器を持つ、持っているなら磨き上げることが重要なのではないでしょうか。」

 イチロー選手が引退しました。この偉大な選手と私を同列に扱うことはできませんが、私がガソリンスタンド業界を引退したのが2009年1月でした。その際に、社内の他店長や関係各社が集まった会議でスピーチをしてくれ、と上司から言われ、述べたのが冒頭の内容です。

 当時の私は、コーチングというヘリコプターを武器に、スタッフのモチベーションを上げ、売上を向上させていました。その武器の要諦は傾聴です。売上を上げることのできない店長は、多くの場面で部下の話を傾聴できていません。そこで、今回のコラムでは、傾聴を取り上げていきたいと思います。

傾聴のきっかけ

 私は、雇われ店長時代に中小企業診断士の試験勉強を始めましたが、当時の試験内容に、コーチングがありました。ほんのさわり程度の内容ではありましたが、私は、当時耳慣れなかったこのコーチングに興味を持ちました。

 ちょうどその頃、私が勤務する会社の経営者がコーチングの研修を受講してきたという話を聞き、機会を見つけて経営者にその研修内容を聞いてみたところ、研修資料を全て渡してくれました。その中に、傾聴の重要性が書かれた資料がありました。

 当時、私の部下に、小規模な店舗から私が店長を務める店舗に転勤して数ヶ月が経過した若手社員がいました。転勤してきた当初は、元気が良かったのですが、最近それが欠けてきたことが気がかりでしたので、ある日、彼の話を傾聴してみようと、面談を行いました。

 それまでの私は、部下と定期的に面談を行っていましたが、話を聞きながら、どんなアドバイスをしようか考えながら聞くのが常でした。そんな私が、頭の中を空っぽにして部下の話を聞くことにしたのです。

 「最近どう?」という質問から始めたその面談で、彼は心を開かず、通り一遍の受け答えをしていました。いつものように「どのようなアドバイスをしようか」という考えが頭をよぎりますが、傾聴は頭の中を空にして、ただひたすら相手の話を聴きます。頭の中が空っぽにならない場合は、話を理解しているサインを出すことが有効です。

話を理解しているサインとは

 話を理解しているサインには以下の3種類があります。
 1.頷き、あいづちを出しながら聴く
 2.相手の話を繰り返しながら聴く
 3.相手の話の内容を言い換えて聴く

 「1.頷き、あいづちを出しながら聴く」ですが、深く浅く、ゆっくり細かく、頻繁にたまに、といった形で話の流れに沿って、頷き、あいづちを変えていくことがポイントです。

 「2.相手の話を繰り返しながら聴く」ですが、相手の話全てを丸々繰り返すのではなく、ポイントになるフレーズ、自身に響いたフレーズのみを繰り返します。

 「3.相手の話の内容を言い換えて聴く」ですが、相手の話を自分なりに言い換えて、相手に確認をします。言い換えるには、相手の話をしっかり聴かなければできません。

 これらを行うと、頭の中を空っぽにしようという意識がなくても自然と空っぽになり、相手の話を傾聴することとなります。これにより、部下は話に乗ってきます。誰でも自分のことを分かって欲しいからです。

 私が話のサインを出しながら傾聴したことにより、その部下の本音がみえてくることになりました。

傾聴の効果

 その部下の話から見えてきたことは、彼が以前に勤務していたガソリンスタンドは、客数が少なかったので、車と顧客と購買履歴が自分の頭の中にインプットされており、それに基づく販売が出来ていました。
 しかし、赴任先の現在の店舗は、客数が以前の店舗の4倍あり、そのようなインプットはほぼ不可能であることが、元気をなくしていた原因でした。

 そこで、購買履歴が分かるように「品川33あ1234」といった車両番号と購買履歴を紐付け、エクセルで管理し、フィルター機能で読み出す仕組みを作り、この問題を解決しました。
 当時私が勤務していたガソリンスタンドの業績が向上したのは、この仕組みによるところが大きく、傾聴により、部下の悩みを聞き出すことがなければ、この仕組みも出来上がっていませんでした。

 現場で働くスタッフが元気になれば、売上も上がりやすくなります。ですから、スタッフの話を聴き、元気にさせれば良いのです。売上の厳しい店舗の店長には、これが欠けているケースが多いのです。そこで、傾聴ができない理由をまとめてみます。

なぜ傾聴できないのか

 傾聴できない理由として、自分が何をアドバイスしようか考えながら聞いているから、という理由が挙げられます。その背景には、自分が正しく、部下は間違っている、という前提があります。傾聴するには、部下が持つ正解を傾聴によって引き出す、という前提が必要です。

 また、相手の話を理解しているサインを出していない、という理由も挙げられます。その背景には、部下に興味を持っていない、というものがあるのではないでしょうか。

 売上が厳しい店舗の店長はなぜ部下の話を傾聴できないか。その理由は、上記の通りですので、経営者としては、店長の意識がどこに向かっているのかを、折りにつけチェックする必要があります。そこに必要なのは、経営者が店長の話を傾聴することに尽きるでしょう。

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