ロードサイド店舗の店長が身に着けたいコーチングの基本スキル

コーチング

コーチングとは

 あるガソリンスタンドの店長が「新設店舗はスタッフも全員が新人なのでやりやすいが、既存店舗は既存のスタッフがいるのでやりにくい。転勤するなら新設店舗へ異動したい。」と発言しました。

 この発言から伺えることは、新人は言うことを聞くので使いやすいが、ベテランは言うことを聞かないので使いにくい、という認識を持っていることです。これは、頭から押さえつけて人を動かそうという考え方と捉えられ、人を活かす、という認識に欠けていると言えるでしょう。

 人を活かすコミュニケーション手法のひとつにコーチングが挙げられます。コーチングの語源は、馬車を意味するCoachから来ており、コーチが相手に対して、馬車の操り方を教え、自分自身の力で目標地点へ到達させる、という意味があります。

 これに対して、トレーニングの語源は、列車を意味するTrainであり、トレーナーという列車に乗ってもらい、訓練により目標地点へ連れていく、という意味があるでしょう。

コーチングの基本

 コーチングは、相手に質問をして、答えを考えさせるプロセスの中で、気付きを促していくものと考えていますが、効果的な質問をするには、相手の情報を踏まえる必要があります。よって、コーチングの基本は、相手の話を聴くことが基本となります。

 「聞く」という文字は「耳」を使うことを意味しますが、「聴く」という文字は「耳」の他に「目」と「心」も使うことを意味しています。頭を空にして相手の話をひたすら聴く、というイメージであり、この聴き方を「傾聴」と呼んでも良いでしょう。この「傾聴」ができるかできないか、によってコーチングの成果が変わってきます。

どうすれば頭の中を空っぽにできるか

 私は、企業向け研修で「傾聴」を取り上げる場合、まず、2人1組になっていただき、片方が、これまでの人生の中で自慢できることを3分間で話していただき、もう片方が、その頭の中を空っぽにして聴く、というワークを行います。

 ワーク後の感想を聞くと、ポジティブな感想が出る一方で、「3分は長いと感じた」、「周りのペアの発言が聞こえてきて、集中できなかった」というネガティブな感想が出ることもあります。

 その感想を受けた上で、「話を理解しているサイン」をご紹介します。これは、大きさや長さを意識して使い分ける「頷き・相槌」、相手の話の中で、響いたキーワードをそのまま繰り返す「繰り返し」、相手の話を自分の言葉で言い換える「言い換え」を指します。
 
 これらを積極的に活用していただくこととして、2回目のワークでは、同じペアで片方が最近嬉しかったことを4分間で話していただきます。なお、1回目のワークの3分間ではなく4分間で話していただくことは、受講者には秘密にしたままワークを開始します。

 2回目のワーク、つまり「話を理解しているサイン」を出しながら聴くワーク終了後の感想は「時間が短かった」「集中できた」という感想が出ますが、実は3分ではなく4分で話していただいたことを明かすと、一様に驚きの表情を浮かべます。
 そして、頭の中が空っぽの状態で話を聴けたかと問うと、「あ、そういえば」という感じで、「空っぽになっていました」という答えが返ってきます。

傾聴の重要性

 ロードサイド店舗は小売業ですから、顧客に購買していただくことが目標です。それを達成するために、顧客にアプローチをするわけですが、一方的なアプローチでは購買に繋がる可能性は高くありません。そこで、顧客の話を傾聴することが重要となりますが、自分の話を傾聴された経験のない店舗スタッフが顧客の話を傾聴できるのでしょうか。

 顧客の話を傾聴できるスタッフへ育てるために、店長はスタッフの話を傾聴し、スタッフの悩みや不安に寄り添うことが重要です。ロードサイド店舗の店長が身に着けたいコーチングの基本スキルが「傾聴」である理由がここにあります。

コミュニケーションに関する参考コラム

 ■傾聴を用いたコミュニケーション
 ■傾聴力とリーダーシップ
 ■店舗の雰囲気を良くするには

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