「魚は頭から腐る」と言いますが、組織も同じことが言えるでしょう。つまり、組織はリーダーが大きな影響力を持つ、ということです。では、組織を腐らせず、活性化させていくリーダーとはどのようなリーダーなのでしょう。
海外で活躍するサッカー選手の特徴
サッカーJリーグの代表者をチェアマンと呼びますが、2014年に就任したリクルート出身の村井満氏はある疑問を抱きます。
「Jリーグに入って、2~3年で引退してしまう選手もいれば、世界へ飛び出して活躍する選手もいる。この差は何か?」
そこで、村井氏は50に渡る選手の能力に関する項目を選び、それを基に、監督やコーチなどにインタビューをしていきました。
村井氏のインタビューから分かったことは、世界で活躍する岡崎慎司選手や本田圭佑選手も、2~3年で引退してしまう選手も、「心」「技」「体」に大きな差はなかったということです。
ただし、決定的に違っていた項目が一つだけありました。それは「傾聴力」です。試合中のミスを反省し、悔やむだけではなく、自身の心情を吐露し、周囲に助言を求め、その助言を傾聴する。この力が優れている選手が世界で活躍していることが、村井氏のインタビューによって分かりました。
傾聴力を考える際に参考になるのが、米国の心理学者ジョセフ・ルフト氏とハリ・インガム氏が提唱した「ジョハリの窓」です。
私たちには、「自分に分かっている自分」と「自分に分かっていない自分」、「他人に分かっている自分」と「他人に分かっていない自分」があります。
「自分に分かっており、他人にも分かっている自分」を「開放の窓」と呼びます。例えば、短気であることを自覚しており、周囲から「瞬間沸騰湯沸かし器」などとあだ名をつけられているケースなどがこれに当てはまります。
「自分に分かっておらず、他人が分かっている自分」を「盲点の窓」と呼びます。例えば、自分の体が曲がっていることを自覚しておらず、その姿勢のまま人前でプレゼンをするなどのケースがこれにあたります。
「自分に分かっており、他人が分かっていない自分」を「秘密の窓」と呼びます。例えば、過去の出来事で大きなトラウマを抱えており、他人に言えない秘密を抱えているなどのケースがこれにあたります。
「自分に分かっておらず、他人に分かっていない自分」を「未知の窓」と呼びます。これは、自分も自覚していないし、他人も分からないケースです。
コミュニケーション力を上げる
そして、上記4つの窓のうち、「秘密の窓」と「盲点の窓」を狭めることにより、「開放の窓」を拡げていくことが、コミュニケーション力の向上につながります
「秘密の窓」を狭まるには、自己開示が必要です。試合中に自分が犯してしまったミスやその時の自分の考えなどを他者へ伝えます。そして「盲点の窓」を狭まるべくフィードバックを傾聴し、素直に受け取ることが重要です。
リーダーが自身を大きく見せようと弱点を隠すことは「秘密の窓」が拡がってしまい、「盲点の窓」を狭めるためのフィードバックも受けることができません。
これは、リーダー自身のコミュニケーション能力が低下するだけではありません。リーダーが自身の弱みや失敗を隠すことにより、部下も自身の弱みや失敗を隠そうとし、そのような組織風土は、隠ぺい体質を構築します。
リーダー自身が自己開示をし、周囲からのフィードバックを求め、傾聴し、素直に受け止めなければなりません。せっかくフィードバックを受けても、それに耳を傾けなければ、周囲は一度はフィードバックをしても、それ以降、フィードバックをしようとはしないでしょう。
リーダーが自己開示をして、フィードバックを傾聴する。これにより、何でも言い合えるオープンな組織風土を構築し、組織の活性化につなげていくことが、リーダーとして大事なことのひとつと言えるでしょう。
【参考記事】傾聴を用いたコミュニケーション
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