従業員満足度を高めて定着率を向上させる飲食店の運営スタイルとは

経営の姿勢

1.閉店時の対応で損をしないために

(1)スタッフを立腹させた顧客の言動

 ある飲食店で働くアルバイトスタッフの方が持つ、以下の悩み(愚痴?)に触れる機会がありました。

 この店舗の閉店時刻は25:00で、24:30をラストオーダーとしています。ですが、日曜日は24:00以降の来店客は非常に少なく、24:15を過ぎても来店客がいないようであれば、正規の閉店時刻を待たずして、店を閉めてしまう日もあるとのことです。

 そんなある日曜日の24:15頃、いつものように客数が少ない状況だったその店舗に、この時間には珍しく来客がありました。その20代と思しき5人組の顧客は、席に座ってから、メニューを決めるまでの時間が長く、やっとオーダーが決まりました。その後、ラストオーダーの時間を伝えると、追加オーダーがありました。

 そして、25:00近くになり、このスタッフが閉店時刻を伝えに行きましたが、食べるのを途中で止めてみんなでスマホゲームに興じていたのだそうです。その後、閉店時刻を回ったのでそのことを伝えに行くと、スマホを見ながらレジにのろのろと歩いて来て、支払を済ませ、ようやく退店していったという内容でした。

(2)なぜスタッフは立腹したのか

 メニューを決めるのが遅い、ラストオーダーの時間を告げると追加オーダーをする、食べるのを途中で止めてスマホゲームに興じる、レジにのろのろ歩く、そのような行為は、取り立てて責めるべき行為ではないでしょう。

 このような行為を閉店までに余裕のある時間帯にされた場合、このスタッフは、ここまで腹を立てたのか自問する必要があります。普通のことをする顧客にイライラするということは、自身が普通ではない状況になっていることに気付かなければなりません。

 このアルバイトスタッフは、その日「閉店前に帰ることができる」という意識がどこかにあったのではないでしょうか。そんな中、5人組の来客があり、やることなすこと鼻についてしまったとも考えられます。

(3)営業時間を守らない弊害

 この飲食店は前述の通り、客数の少ない日は正規の閉店時刻である25:00前に閉店することがありました。確かに来店の見込みがないのであれば、水道光熱費や人件費が無駄になるとの考えから、正規の閉店時刻前に閉店してしまうという考え方が理解できなくはありません。

 ですが、このことにより、正規の営業時間に来店した顧客に対して、スタッフが上記のような要らないフラストレーションを感じてしまうことが起こりえます。それは従業員満足度を低下させ、そのような小さなフラストレーションが積み重なると退職という最悪の事態を迎えるリスクが高まってしまいます。

 それだけでなく、客数が少ないからと閉店してしまった後に、営業中であることを信じて来店した顧客からは信用を失うでしょう。

 客数が少なくても店を開け続けることは、短期的な視点で考えれば、水道光熱費や人件費が無駄になるかもしれません。ですが、中長期的視点で見れば、スタッフに無駄な期待を抱かせず、心理的な安定をもたらすとともに「せっかく来たのに営業していない」と顧客にがっかりさせることもありません。

 閉店間際に来店する顧客に対して、自己都合のマナーを求めるスタッフの心理は、正規の営業時間を守らない店舗運営が引き起こしたものであると言えるでしょう。なお、正規の閉店時刻より前に閉店する曜日があるのなら、その曜日のみ営業時間を再考する必要があることを申し添えておきます。

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