高級総菜店がスマホ決済もクレカ決済も告知するべき理由

戦略の考え方

 「スマホ決済ができるようになったからクレカ決済は告知しなくてもいいや…」そう思っている店舗の経営者・管理職の方は、今一度、自店のターゲット顧客の特徴・ニーズを検討する必要があります。

 クレジットカードで決済を受けた店舗は、その利用額の3~4%、利用するカード会社によってはそれ以上支払わなくてはなりません。その金額は相当な負担になる場合もあるでしょう。しかし、その負担は、売上を確保するために必要な経費なのかもしれません。

 ここで大事なことは、その経費が無駄なのか、必要なのか、その判断です。判断を正確かつ迅速に行うには、判断基準を設けるべきです。判断基準がなければ、行き当たりばったり、思いつきなどで判断することとなり、結果として必要な経費を削ってしまい、顧客を失う可能性が高まってしまいます。

 今回のコラムでは、その経費が無駄なのか、必要なのかなど経営判断をする際、どのような判断基準に基づくべきかを見ていきます。

クレジットカードが使えるのに…

 宿泊事業を営むある経営者が、ドイツ製ソーセージを中心とした高級惣菜店へ食材を仕入れに行きました。

 一通り仕入れたいものを買い物かごに入れ、レジに向かったところ、PayPayが使える旨の告知物がありました。なお、PayPayとは、ソフトバンクとヤフーの合弁会社が実施しているスマートフォンやタブレット端末によるQRコードもしくはバーコードでの決済サービスです。

 店内を見渡しても、その高級総菜店にある支払関連の告知はPayPayだけです。クレジットカードが使える旨の表記はありません。そこで、クレジットカードが使えるかどうか店舗スタッフに聞いてみたところ「使える」とのこと。

 つまり、店側としては、キャッシュレス決済をするなら、クレジットカードではなくPayPayを使って欲しいのです。この背景には、PayPayを導入した店舗は決済手数料が導入後3年間無料というサービスがあります。これに対して、クレジットカードは冒頭で述べたとおり、手数料がかかります。

 そこで、店側としては、PayPayを使えること「だけ」を訴求しているわけですが、この宿泊事業の経営者は、自身の施設において、宿泊客に対し、PayPayもクレジットカードも使えることを告知しているだけに、この高級総菜店の告知の仕方になんとなくモヤモヤ感が残ったと言います。

 実は、この高級総菜店は大きな判断ミスをしているのです。

顧客ニーズに応えるための経費

 この高級総菜店は、カード会社への手数料を無駄な経費と見ています。「高級」総菜店ですから、商品単価も高く、クレジットカード決済の手数料はそれなりの金額になるでしょう。

 しかし、扱っている商材が高級ならば、キャッシュレス決済を希望する顧客が数多く来店するはずです。なぜなら、商品単価が高いので、現金で払って手持ちを少なくしたくないというニーズがあったり、そもそも手持ちが少なくて現金で払えなかったりする方がいるからです。

 そして、ここが重要なところなのですが、扱っている商材が高級食材ですから、PayPayなどのスマホ決済に対応しやすい若年層よりも、そのような決済方法に馴染みの薄い中高年層の来店が多いことが推測されます。そのような客層にとってのキャッシュレス決済は、スマホ決済ではなく、クレジットカード決済なのです。

 にもかかわらず、キャッシュレス決済としてPayPayだけを訴求しているのです。これを判断ミスと呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。このような判断ミスをしないためには、次に示すように判断基準を設定する必要があります。

判断基準の設定方法

 判断基準を設定する方法としては、自店は誰のための店なのか、というターゲット顧客の設定が挙げられます。ターゲット顧客は、自店が狙う顧客、自店に来て欲しい顧客です。

 経営判断に迫られたときの判断基準として、このターゲット顧客に不便は生じないか、利便性が生じるかという基準で判断します。

 高級総菜店がクレカ決済の告知をするかしないか、という判断をする場合、主要客層は、若年層ではなく中高年層ですから、この顧客層に不便はないか、利便性が生じるか、という基準で判断する、ということです。

 今回のコラムでは、高級総菜店がスマホ決済もクレカ決済も告知するべき理由として、ターゲット顧客の特徴・ニーズに対応するためという点を挙げました。

 なお、今回のコラムに登場した宿泊事業の経営者は、過去に私が登壇した創業セミナーの受講者で、2016年の夏に創業を果たしました。この方から、このクレジットカードの告知に関してコラムで取り上げて欲しいというご要望を受け、書いたものです。

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