エンジンルームの点検を依頼したくなるガソリンスタンドとは

経営の姿勢

ボンネットをいかにして開けるか

 あるガソリンスタンドでは、給油中に「車内のフロアマットを無料で清掃します」と言って、顧客を車から降ろします。スタッフはマットを車内から出すために運転席の脇にしゃがみますが、この時にボンネットを開けるレバーを引きます。そして、マットを取り出し清掃しますが、その最中にもう1名のスタッフが開いたボンネット内のエンジンルームを点検し、あれこれ交換や補充を勧めてきます。

 また、別のガソリンスタンドでは、給油中に「ワイパーの水を無料で補充しているので、ボンネットを開けてください」と言って、ボンネットを開けていただきます。そしてウォッシャー液を補充するだけでなく、エンジンルームの点検をし、あれこれ交換や補充を勧めてきます。

 このように、あの手この手でボンネットを開けさせようとする取り組みについて、ガソリンスタンドの経営者、店長は顧客がどう感じ、どう見ているか、という点に真摯に向き合わないと油外商品は売れないことに気付かなければいけません。

なぜ「押し売り」と言われるのか

 そもそも、まともに声を掛けていたら断られるので、マット清掃やウォッシャー液補充といった、まともではない方法に走らざるを得ないわけです。
 なぜエンジンルームの点検を顧客が断るのかというと、エンジンルーム内の粗探しをして何か勧めてくるから、というよりも、「なぜ自分に勧められるのか」「なぜそれに自分が応じなければならないか」という説明がないからです。交換を勧められても、それが自分の車に必要なのか否かが分からず、その疑問が解消できるような説明がないので、勧められるのが嫌なのです。

 車に関して知識が豊富な顧客は決して多くはありません。そのような顧客に何らかの商品の交換作業を勧めるなら、素人でも分かる説明をしないとその必要性が認識できません。それを端折って、交換に持って行こうとする行為を、世間一般では「押し売り」と言います。
 そして、押し売りをして、中長期的に収益を上げているガソリンスタンドを私は知りません。

顧客が納得して購入してもらうために

 交換の必要性に関して素人でも分かる説明があり、無理に販売をしないということが分かっていれば、顧客はエンジンルームの点検に応じる、というよりもエンジンルームの点検をお願いするはずです。
 そこで車の知識のない顧客に交換の必要性を分かっていただくための努力が必要になりますが、その際、基本的に車の構造が分からなければ、油外商品を交換する必要性は理解できないはずです。

 あるカーディーラーには、エンジンオイルの役割を説明するためにエンジンの模型を用意しています。また、あるガソリンスタンドでは、ATFの役割を説明するためのトランスミッションの構造を描いたポスターを貼っています。このような、顧客が交換の必要性を納得できる説明のツールが必要と言えるでしょう。

 経営者、店長は精神論に走らず、現場で必要なツールを揃え、まっとうな商売をするように指導していくことが必要であり、それがガソリンスタンドで働くスタッフの社会的地位を上げることに繋がるのではないでしょうか。
 まっとうな商売ができない業界・店舗・店員の社会的地位が高いものにはなり得ないことは自明の理なのです。

 エンジンルームの点検を依頼したくなるガソリンスタンドは、顧客に油外商品交換の必要性を分かりやすく説明できる、顧客目線の店舗であると言えるでしょう。

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