ガソリンスタンドでの事故により従業員を死亡させないために

経営の姿勢

1.ガソリンスタンドでの事故により従業員を死亡させないために

ガソリンスタンドでの事故により従業員を死亡させないために(1)知識をつけさせる

 YAHOO!Japanニュースより、痛ましい事故のニュースが入ってきました。大型トラックのタイヤに空気を充填していた整備会社の経営者が、タイヤの破裂により2メートル吹き飛ばされ、地面に叩き付けられて死亡してしまったというニュースです。

 私がガソリンスタンドの現場にいた頃、大型トラックに乗る顧客が、そのトラックのタイヤにご自身で空気を充填していたところ、いきなりタイヤが破裂したことがあります。

 幸いその顧客に怪我はありませんでしたし、そのタイヤ破裂の現場から約10メートル離れた場所で作業していた私も、怪我はしませんでしたが、破裂時のすさまじい音で「キーン」という音がしばらく耳に残っていたことが思い起こされます。タイヤの破裂は手榴弾並の威力があると言われますが、その威力を目の当たりにした瞬間でした。

 タイヤはゴム製品ですが、時間が経過するとゴムは劣化し、もろくなってきます。破裂したタイヤは、このもろくなったものがほとんどです。よって作業する側としては、空気を充填しても安全なタイヤであるか、そうでないタイヤなのかの見極めが重要になってきます。

 経営者としては全従業員に対して、このことを取引先のタイヤ製造業者や卸売業者の協力を得て、ミーティングや勉強会などで積極的に周知する必要があります。

ガソリンスタンドでの事故により従業員を死亡させないために(2)敷地内で働かせる

 ガソリンスタンドの作業で危険を伴うものは多岐にわたりますが、送り出しも危険な作業です。ガソリンスタンドで給油を終えた車両を敷地内から前面道路に送り出す際に、前面道路を通行する車に停まっていただき、退店する顧客の車両を割り込ませていただく作業です。この作業で走行してくる車両をスタッフが無理に停めようとして、はねられるケースがあります。

 また、昨今は余り見なくなった印象ですが、イベントを行っているガソリンスタンドが、店舗手前の赤信号で停まっている車両に「その先のガソリンスタンドですが、良かったらどうぞ」と言って、開催中のイベントチラシを手渡し、入店を促すケースがあります。

 赤信号で停まっている車両にチラシを渡すことに夢中になっていると、信号が青になったことに気付かず、気が付いたら青信号で車両が動き出した道の真ん中に置き去りになり、慌てて歩道側に戻ろうとして、車両にはねられるというケースもあります。

 ガソリンスタンドのスタッフは、ガソリンスタンドの敷地内で働くことが前提であり、道路上で働かせることは論外という認識を経営者が持つ必要があります。送り出しは止め、店舗敷地内でのお見送りに留めたり、イベントをやっても公道上で車両へチラシを配布したりすることは廃止するべきでしょう。

ガソリンスタンドでの事故により従業員を死亡させないために(3)事故撲滅を目的とした部門を立ち上げる

 複数のガソリンスタンドを運営するある企業は、ベテラン社員1名からなる「事故撲滅委員会」を立上げ、社内の事故発生件数を大きく減少させました。当委員会は、事故を起こさないために作業時のルールを定めて各店舗に徹底させたり、事故の事例を店舗で共有させたりといった取組を日々行いました。

 ガソリンスタンドでの事故により従業員を死亡させないためには、自社の店舗では絶対に事故を起こさない、という経営者の強い意識を周囲に「見える化」し、制度化していくことが重要と考えます。よって、事故防止を目的とした部門を立上げるなど組織を変えて、経営者が同部門の活動を徹底的に後押しすることが重要です。

 絶対に事故を起こさないと決めたら、その意識を周囲に「見える化」することで訴求し、制度化していきますが、そのためには、具体的に組織を変えることが有効でしょう。そういう意味では「事故撲滅委員会」の立上げは有効な取組みと感じました。

 今回のコラムでは、従業員の死亡事故を防ぐ方策として(1)知識をつけさせる、(2)敷地内で働かせる、(3)事故撲滅を目的とした部門を立ち上げる、を挙げました。経営者は従業員の命を守る責務があることを再認識していただき、これらの取組みを参考にしていただけたらと思います。

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