生き残りをかけたガソリンスタンドが実施するレジ作業の効率化

戦略の考え方

結婚式の受付にて

 かつて自分の親族の結婚披露宴で、受付を何度か担当したことがあります。受付は、披露宴の来賓から会費やご祝儀をいただき、席次表をお渡しする、という作業なのですが、会費をいただくと、お名前を伺い、受領したという印を席次表につけるわけです。

 ところが、お名前を伺っても、席次表からなかなかその名前を見つけ出すことができません。しびれを切らした来賓も一緒になってご自身の名前を探したりして、「あ、ここ。ここにありますよ」などとご指摘したり。開宴間近になると、行列ができますので、プレッシャーも相当かかるわけです。

 そこで、2度目の受付の時には、数日前に席次表を受け取り、来賓の方々のお名前を、あいうえお順に並べ直した表を作るようにしました。この表を作成したことで、来賓から伺ったお名前を探す時間はかなり短縮化され、受付業務が非常にスムーズになったことがあります。
 私は、それ以来、受付を依頼されることが多くなってしまいましたが、このようにひと手間かけることにより、作業時間が大幅に改善することもあります。

ガソリンスタンドのコスト意識

 製造業は、同じ製品を短い時間で製造することができれば、より多くの製造が可能となり、製造原価が下がります。よって、ものを掴んだり、運んだり、探したりといった一連の作業に費やす時間をいかに短縮するか、を追求します。原価を下げる方策は、原材料を安く調達することだけではないことを理解しています。

 これに対して、ガソリンスタンドの原価意識は、いかに安く仕入れるか、つまり、ガソリンメーカーである元売りから安く仕入れることができる条件をいかに引き出すか、に着目しがちです。あるガソリンスタンドの運営業者は、元売りの社員を接待し、仕入条件を少しでも有利にさせようと腐心していました。ものを買う側が売る側を接待しているのです。

 しかし、ガソリンスタンドでも作業時間の短縮により、経費削減を行うことは可能です。10人のスタッフそれぞれが10人の顧客に対して、1分の時間短縮ができたら100分短縮できます。これを365日実施すれば、36,500分、608時間超が短縮されます。時給1,000円と仮定すれば608,000円が削減されます。

会計作業の効率化

 ガソリンスタンドで取り扱う商品には、一般に4桁の商品コードが割り当てられており、それをPOSレジに入力して会計業務を済ませます。
 特にオイル交換やタイヤ交換などの作業をきっかけに複数の商品を購入して下さった顧客の会計をする場合は、複数の商品コードを入力することとなります。

 ところが、商品コード表に並べられた商品コードは数字順に並んでおり、なかなか探すことができません。レジ前で財布を持って待つ顧客、商品コードが見つからずあたふたするスタッフ。まるで結婚式場の受付そのものです。

 そこで、商品コードを数字順に並べるのではなく、商品コードが付された商品の名前をあいうえお順に並べ替えました。この場合、商品名を店内で共通言語化しておく必要があります。あるスタッフは「シャンプー洗車」と呼ぶものをあるスタッフは「水洗い」と呼んでいたら、あいうえお順に並べても、混乱を招きます。

 この取り組みにより、油外商品を購入した顧客の会計時間が非常に短くなった経験があります。「生き残る」ということは、「利益を出し続ける」ことと同義だと思いますが、利益を出すためには、売上を増やすか、費用を減らすかを考えなければなりません。
 費用を減らす場合に、安易に人を減らすのではなく、その人の作業時間を減らすことを検討することには大きな意義があると考えますが、いかがでしょうか。

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