小規模事業者持続化補助金で告知力を強化した化粧品店の事例④

小規模事業者持続化補助金

 事業展開を考える際、「誰に」「何を」「どのように」提供するのか、を検討すると事業が明確になり、その後の展開がしやすくなります。

小規模事業者持続化補助金「化粧品店」採択されるポイント

 小規模事業者持続化補助金に採択された化粧品店の経営者が、あらかじめ記載してきた内容を採択レベルにブラッシュアップしたプロセスをご紹介するシリーズ、4回目の今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<経営計画>内の「4.経営方針・目標と今後のプラン」について見ていきます。

「事業の骨格」を理解する

 同店は、経営方針として、以下のような内容を記載していました。

 ・ターゲットを女性にしぼる
 ・重点販売品を化粧品にしぼる
 ・明るい店舗イメージを構築する

 これをブラッシュアップさせようと考えた場合、「だれに」「なにを」「どのように」提供するのか、という事業の骨格に当てはめて検討すると良いでしょう。ちなみにこれらは「事業領域」や「ドメイン」と呼ばれ、「だれに」は顧客ターゲット、「なにを」は顧客ニーズ、「どのように」は差別的優位性、と言い換えることができます。

「だれに提供するのか」を決める

 同店の場合は「女性」をターゲットとしていますが、これではあまりにも範囲が広い印象です。

 ターゲットを決める際には以下の基準を用いると設定がしやすくなります。
 ・「○○町に居住している女性」といった地理的基準
 ・「△△代の女性」といった人口統計的基準
 ・「仕事を持ち、早朝から都内に通う女性」といったライフスタイル基準
 ・「月1回以上当店で買い物をする女性」といった行動変数基準

 これらを単独もしくは組み合わせると、ターゲットがより具体的になり、それに合わせた店作りがしやすくなります。

「なにを提供するのか」を決める

 化粧品店ですから、化粧品を提供するわけですが、これを「モノ発想」といいます。これの対極的な発想が「コト発想」です。

 例えば「化粧品を通じて女性としての魅力を引き出すこと」を提供する、「化粧品を通じて肌を健康にすること」を提供する、などです。この「魅力を引き出す」「健康にする」といった部分が顧客ニーズになりますので、それを踏まえて「コト発想」をする必要があります。

 なお、顧客ニーズは小規模事業者持続化補助金で告知力を強化した化粧品店の事例②で取り上げた「2.顧客ニーズと市場の動向」と整合性をとらないと、顧客からの支持が得られませんので、注意が必要です。

「どのように提供するのか」を決める

 繰り返しになりますが、「どのように」は差別的優位性です。よって、「明るい店舗イメージを構築する」は該当しないことになります。

 前回のコラム小規模事業者持続化補助金で告知力を強化した化粧品店の事例③で見たように、「時間をかけた丁寧な接客」は同店の大きな強みです。

 これが「どのように」に該当し、それを多くの方に提供するために、外装の変更をするわけです。自店の強みを多くの方に届けるという目的を果たすために外装の変更をするという手段をとる、ということです。

見出しを設ける

 繰り返しになりますが、当欄は「経営方針」「目標」「今後のプラン」を書く欄です。よって、それらがモレなく書かれているか、検討する必要があります。同店があらかじめ書いてこられた内容を見ると「経営方針」「今後のプラン」は書かれていましたが、「目標」の記載が見当たりませんでした。

 このようなミスを防止するには、「経営方針」「目標」「今後のプラン」という見出しを設けることです。見出しがあれば、それに応じて書かなければならないので、モレはなくなるでしょう。その上で「目標」を記載していただきましたが、この「目標」を検討する際の留意点があります。

目標の種類と留意点を理解する

 目標は数値で表すことのできる定量的目標とそれが困難な定性的目標があります。

 前者は、売上高、利益、従業員数などが挙げられます。後者で多いのは、満足度、存在感、貢献度といったものがあります。これらを切り分けて検討すると良いでしょう。ただし、後者の定性的目標は目標の達成度を測ることが困難です。

 よって、「顧客満足度を上げる」であれば「来店客100名に当店の満足度をA~Dランクでアンケート調査をしたところ80%がBランク以上と回答した」といった形の定量的目標に変換すると、達成度を測ることが可能となり、それによって、次の打ち手を検討することも可能となります。

 このようにして、「4.経営方針・目標と今後のプラン」は、目標を明確にして、経営方針をブラッシュアップしていきました。次回のコラムでは<補助事業計画>を見ていきます。

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