小規模事業者持続化補助金で広告宣伝力を強化した美容室の事例③

小規模事業者持続化補助金

 「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」においては、事前に競合動向を示すこと、意味を取りやすくすること、因果関係を意識すること。この3点を意識することにより、小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。

小規模事業者持続化補助金「美容室」採択のポイント

 小規模事業者持続化補助金で、ホームページ、リーフレット、チラシ、ショップカードの作成費用を調達するために、美容室の経営者が予め記載してきた計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<経営計画>内の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

事前に書かれてきた内容を整理する

同店が事前に書かれてきた内容を整理すると以下となりました。

 ① 一般的なサロンに比べ、スペースに対し約1/2のセット面としており、ゆったりとしたスペースで施術できる。
 ② 静かで落ち着いたロケーションであり、リゾート地の美容室のような本物のリラクゼーションが提供できる。
 ③ 自然派志向の商材を取り入れている。
 ④ 最新のメニュー・サービス・技術があること。
 ⑤ ヘッドスパやトリートメントの主流メニュー以外にも力を入れていること。
 ⑥ 髪を傷めず頭皮の状態にまで踏み込んだ美容のスペシャリストとしてアドバイスができること。
 ⑦ 長期的なお客様との関係を築ける環境が整っている。

 これらの内容をブラッシュアップしていきます。

競合動向を把握する

 「①一般的なサロンに比べ、スペースに対し約1/2のセット面としており、ゆったりとしたスペースで施術できる。」という記述では「一般的なサロンに比べ」と比較対象を持ち出しています。

 当コラムでは、強みを「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義付けしています。この定義に即して考えると、比較対象は「一般的なサロン」ではなく「競合店」とするべきです(もっとも、比較対象がないよりはよっぽど良いわけですが)。

 そこで、前回のコラム小規模事業者持続化補助金で広告宣伝費を調達した美容室の事例②で取り上げた「2.顧客ニーズと市場の動向」に屋号・住所・当店からの距離・URL・特徴などを示した競合の一覧表を盛り込んでおくと、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」における説得力が高まることとなります。

意味を取りやすくする

 「①一般的なサロンに比べ、スペースに対し約1/2のセット面としており、ゆったりとしたスペースで施術できる。」という記述に「スペースに対し約1/2のセット面としており」とあります。

 これは、一般的なサロンは店舗面積の100%をセット面としており、同店は50%をセット面としているということなのでしょうか。しかし、店舗面積には待合スペースやシャンプー台スペースなどがあり、店舗面積の100%をセット面とするのは無理があります。

 ゆったりとしたスペースである根拠を示すために、競合店と比較することは重要なので、競合店は、店舗面積に対して、大体どの程度のセット面スペースを割いているのか、一覧表に示すと意味が取りやすくなりますし、説得力が高まります。

因果関係を意識する

 前述の①は「一般的なサロンに比べ、スペースに対し約1/2のセット面としており」という原因と「ゆったりとしたスペースで施術できる」という結果がセットになっています。比較対象の妥当性や、意味が取りにくいということはあれども、因果関係はしっかりしています。

 同様に②も「静かで落ち着いたロケーションであり」という原因と「リゾート地の美容室のような本物のリラクゼーションが提供できる」という結果がセットになっており、因果関係はしっかりしています。

 ですが、③④⑤においては原因が書かれていますが、結果、つまり前述の「強みの定義」における「顧客に提供している価値」が不明です。⑥⑦においては結果が書かれていますが、原因、つまり前述の「強みの定義」における「競合より優れている経営資源」が不明です。これらを再度検討し、記載していただきました。

 このようにして内容のブラッシュアップをしていただくとともに「自社の強み」「自社の提供するサービスの強み」と見出しを設けてまとめていただきました。次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。

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