小規模事業者持続化補助金で広告宣伝力を強化した美容室の事例⑥

小規模事業者持続化補助金

 <補助事業計画>の「4.補助事業の効果」においては、その効果を具体的に、そして公的資金を使う者として記載することにより、小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。

小規模事業者持続化補助金「美容室」採択のポイント

 小規模事業者持続化補助金で、ホームページ、リーフレット、チラシ、ショップカードの作成費用を調達するために、美容室の経営者が予め記載してきた計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。最終回の今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<補助事業計画①>内の「4.補助事業の効果」を見ていきます。

事前に書かれてきた内容を整理する

 同店が「4.補助事業の効果」に書かれてきた内容を整理すると以下となりました。

 ① 広告宣伝による新規顧客15%増、リピート率20%向上により、年間約200万円の売上向上を見込んでいる。
 ② 独自サービスによる顧客満足度アップやサポートにより周辺地域の皆様へ安心・信頼を与えることができる。
 ③ 近所だからではなく、技術力・信頼から当店でなくてはならないという顧客を取り込むことで売上増加を目指すことができる。   

 これら整理した内容をブラッシュアップしていきます。

具体的に書く

 上記①では「新規顧客15%増」とありますが、現状は新規顧客が何名なのかが不明です。同様に「リピート率20%向上」とありますが、現在のリピート率が何%なのかが不明です。

 例えば現状が、月間で新規顧客が20人獲得できており、そのリピート率が10%だと仮定した場合、2人がリピーターになっています。

 これを①の記述に沿って考えると、新規顧客数が15%増加しますから、現状から新規顧客数は3人程度増加します。リピート率は現状から20%向上ということですから30%になると解釈すると、リピーターが1名増える計算となります。

 年間で新規顧客が36名、リピーターが12名増加し、このリピーターが年に6回来店したとして延べ144名、客単価を1万円とみた場合、①に記載のある「年間約200万円の売上向上」は困難なことになります。う~ん、ややこしい。

 こういうややこしさを読み手に与えないために、現状がどうなっていて、なぜ年商200万円増加するのか、具体的に述べる必要があります。

 なお、参考までに10%の現状から「20%向上」した場合、10%の20%で2%の向上、つまりリピート率は12%になると捉えられる可能性があります。よって、10%の現状から「20%向上」して30%になると言いたい場合は「20ポイント上昇」と述べると解釈の余地がなくなります。

「補助事業」の効果を書く

 前述②には「独自サービスによる顧客満足度アップやサポートにより周辺地域の皆様へ安心・信頼を与えることができる。」とあります。今回の補助事業は、ホームページ、リーフレット、チラシ、ショップカードの作成・活用がその内容のはずですが、「独自サービス」と補助事業の関連が見えません。

 当欄では、あくまでも補助事業を行った効果を述べる必要があります。また、「ホームページを立ち上げることにより、当店の独自サービスを紹介することができ…」といった書き出しから効果を述べると、読み手は、補助事業と独自サービスの関連を理解することができ、補助事業の効果として受け取ることができるでしょう。

補助金を使う者としての意識を持つ

 同店は「自店の効果」のみ記載していましたが、「顧客の効果」「地域社会の効果」も記載すると説得力が向上します。特に「地域社会の効果」は補助金という公的資金を使う事業者として意識したい観点です。

 例えば「当店を利用することによって、癒やされる方が増加するため、日々の仕事に対する活力が向上し、生産性が上がる」「当店を利用することによって、頭皮の状態が良くなり、美しい髪になった女性が外出する回数が増加し、消費が活性化する」などが言えるのではないでしょうか。

 このようにして、予め記載されてきた内容をブラッシュアップしていった同店は、小規模事業者持続化補助金に採択されることとなりました。採択を目指す方の参考になれば幸甚です。

小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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