高齢者が主要顧客の婦人服店が気付いた自店のもつ常識の間違い

経営の姿勢

小規模事業者持続化補助金の採択結果

 2018年3月9日公募開始、2018年5月18日締め切りの「平成29年度 補正予算 小規模事業者持続化補助金」の採択結果が昨日発表となりました。

 商工会議所経由で応募された事業者の採択結果
 日本商工会議所 平成29年度補正予算小規模事業者持続化補助金

 商工会経由で応募された事業者の採択結果
 全国商工会連合会 平成29年度補正予算小規模事業者持続化補助

 当社がご支援した事業者の方々も多数採択されたわけですが、その中に主要顧客が80代の女性という老舗の婦人服店がありました。若い時にこの店舗で買い物をした女性が、そのまま同店の固定客となり、現在に至っているのです。

客数が減少している原因

 しかし、同店の客数は徐々に減少していました。その理由は、顧客がお亡くなりになったため、また、介護施設に入居したため、というものがほとんどでした。よって、新規顧客を獲得していかなければ、いずれ客数はゼロになってしまいます。

 さて、同店の主要顧客である80代の女性は一人で来店するかというと、そういう方は稀なわけで、50代や60代の娘さんが運転する車に乗せられて来店するケースがほとんどなわけです。

 ところが、同店の品ぞろえは、80代の方向けの商品であり、50代、60代向けの商品がほとんどありません。傍から見ると、50代、60代の女性も来店するわけですから、その世代を顧客と捉えて品ぞろえをすれば、80代の顧客の減少分を50代、60代の顧客で補うことができます。
 しかし、指摘されるまでそのことに気付くことができなかったのは、同店の主要顧客は80代であるため、80代向けの売り場づくりをしなければならないという「同店の常識」に捉われた考え方があったためです。

自分の常識を疑う

 このコラムは、新神戸から東京へ向かう新幹線の中で書いています。新神戸駅までは「神姫バス」というバスで移動してきました。私は、この「神姫」を「かみひめ」と読んでいましたが、実は「しんき」と読みます。
 この話をすると、現地の人は「しんき」と読むのが常識である、という顔をします。しかし、現地以外の人の多くは、そのようには読めないはずです。

 また、あるメガバンクは、経営破綻の危機に瀕し、政府から総額2兆円もの予防的公的資金注入を受けました。その際に就任した社外取締役は、「サービス業でありながら、なぜ午後3時に閉店してしまうのか?」「カウンターで顧客を立たせ、なぜ行員は座って接客しているのか?」と、銀行の常識は世間の非常識であることを指摘し、改革をしました。
 結果として、同行は立ち直り、注入された総額2兆円は繰り上げ完済をすることが可能となりました。

 自身の常識は他人から見たらどうなのか、常に第3者の客観的目線を持つことが事業展開の要諦と言えるでしょう。

 なお、前述の婦人服店は、50代向けの売り場を充実させるべく、小規模事業者持続化補助金を活用するようです。自店の古い常識と決別し、新たな常識を取り入れる、この取組みが成功することを願ってやみません。

 【婦人服店の参考記事】
 婦人服を扱う店舗で売上を向上させる方法

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