ロードサイド店舗人手不足悪循環解消対策

本日で閉店する居酒屋

　出張で長野県へ行った際に、宿泊した旅館のすぐそばに居酒屋がありました。そこで食事をしたときの話です。店内は50人ほどが収容できる広さでしたが、割と遅めの時間帯にもかかわらず、非常に混雑しており、空いていたのは、カウンター席が3席のみ、という状況でした。

　カウンターに陣取り、ビールとお通しからお腹を満たしつつ、料理をどれにしようかとメニューを眺めていると、他の顧客が会計をしている際に「これまでありがとうございました」と店主と思しき方に挨拶をして別れを惜しんでいる光景を目にしました。

　他の顧客も会計をする際に同じことを言います。また、店主にこの店の思い出を語る顧客もいました。そこで店主に話を聞くと、本日でこの店を閉店するとのことでした。

人手不足で苦しい焼き肉店

　そんな中、私の隣に座って飲んでいる中年男性と仲良くなりました。聞くと、近隣で2軒の焼き肉店を経営しているが、人手不足で苦しんでいるとのこと。そして、本日がこの居酒屋の最終営業日ということを聞きつけ、ここで働くアルバイトさんを譲ってもらえないか、この居酒屋の店主へ相談に来たとのことでした。

　その後、この焼き肉店の経営者とのやり取りは途絶えてしまいますが、先日、人手不足で1店舗を閉鎖したと聞きました。

人手不足になってからでは遅い

　反応とは、既に起こってしまった結果を受けて行動を起こすことです。これに対して、対応とは、これから起こりそうなことを予想して行動を起こすことです。
　人手不足になってしまってからの行動は、反応です。これに対して、対応の例としては、定期的に店舗スタッフと面談をして、退職の予定時期を把握し、人手不足になる前に求人活動をすることが挙げられます。

　人手不足になってから求人活動をして人材を雇用しても、人手不足の忙しい中で教育が片手間となってしまい、「OJTという名のほったらかし」が発生しやすくなります。また、新人も忙しそうな先輩スタッフに気軽に質問ができず、不満足感が高まり、早期離職に繋がりやすくなります。結果として、人手不足に拍車がかかるという悪循環に陥る可能性が高まります。

応募者への電話対応

　とはいえ、人手不足に陥ってしまっているのであれば、なんとかそこから脱却しなければなりません。その第一歩として、店頭看板やポスター、チラシの新聞折込み、webなど求人広告を打つ必要があります。

　求人広告にはメールアドレス、電話番号、採用担当者などの連絡先を記載する必要がありますが、応募者が電話をしてきた場合に、店舗が忙しく、人手不足も相まって電話に出ることが出来なかったとします。その場合、再度電話がかかってくることは期待できないでしょう。

　よって、そのような状況が予想されるならば、メールで受付をするか、店舗の他に本社が別にあるなら、本社に電話受付を依頼するとよいでしょう。店長の携帯番号を掲載し、出られなかったら折り返し電話することを求人広告で訴求しても良いでしょう。

店舗の特徴を訴求する

　自店が存在する理由が経営理念です。その経営理念を元にどのようなビジョンを描いているのか、これらを記載することは、定着率の高い人材が集まりやすくなります。
　単に、人不足だから人が欲しいのではなく、明確な経営理念の元、ビジョン達成のために人材の力が必要であることを訴求した方が、応募者へ働きがいを訴求することになり、魅力的な職場と感じさせることが可能となります。

　また、自店のイメージや雰囲気などが伝わるキャッチフレーズを記載しても良いでしょう。店長や経営者だけで考えるのではなく、現在働く店舗スタッフも巻き込んで検討すると店舗の一体感が強化できるでしょう。

　ロードサイド店舗が深刻な人手不足の悪循環を解消する対策は、まず、人手不足になる前に手を打つこと、そして、応募者からの連絡を確実にゲットすること、また、自店の特徴を訴求することである、と言えるでしょう。