持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方③

小規模事業者持続化補助金

 同社は、地域の企業が使う広告宣伝ツールの制作を手掛けていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、広告宣伝の需要が激減し、同社の業績も落ち込んでしまいました。

 そこで、同社の販路を地元から全国へ広げるために、インターネットをこれまで以上に活用することとし、それにかかる費用の一部を小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>で調達しようと申請をしましたが、不採択という結果になってしまいました。

 そこで、前回のコラム持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方②に引き続き、同社が作成した計画書がなぜ不採択という結果を招いてしまったのか検討し、採択を引き寄せる書き方を見ていきます。

 下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」ですが、今回のコラムでは上図赤枠部分<経営計画>「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」の書き方について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月12日時点の情報に基づいています。

図表

1.持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編】

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編】(1)求められている内容を述べる

 当計画書フォーマットにおける「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」欄には以下の但し書きがあります。

※新型コロナウイルス感染症による自社の経営や事業環境への影響を記載してください。また、現在取り組んでいる対策を記載してください。

 この但し書きのポイントのひとつとして、太字部分の「自社の経営や事業環境への影響」の記載を求められてる点が挙げられます。このことは、新型コロナウイルス感染症によって、「事業環境」である外部環境にどのような影響があり、それが「自社の経営」である内部環境にどのような影響を及ぼしたかを記載するべきである、という解釈ができます。

 同社が「新型コロナウイルス感染症の影響」として記載した内容は、企業の広告宣伝ツールに対する需要が低下したことや、イベントが減少したという外部環境が受けた影響だけであり、自社の内部環境が受けた影響についての記載がありませんでした。

 内部環境の記載例としては、そのような外部環境の変化による売上や利益の減少、コストの上昇といった内容が考えられますが、同社はこのような内部環境が被った影響を記載していなかったことも採択を遠ざけてしまった要因のひとつと考えられます。

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編】(2)影響を数値で述べる

 前述の通り、同社は外部環境が受けた影響のみを記載しておりましたが、具体性に欠ける内容となっていました。企業の広告宣伝ツールに対する需要が低下したことや、イベントが減少したということであれば、いつからいつまでの間にどの程度低下・減少したのかを記載すると内容が具体的になり、受けた影響の大きさも理解できます。

 これは内部環境が受けた影響も同様で、どの程度売上・利益・客数が落ち込んだのか、どの程度コストが上昇したのかといった内容を数値で表すことで説得力が高まるでしょう。同社はこのように影響を数値で述べていなかった点も採択を遠ざけてしまった要因のひとつと考えられます。

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編】(3)業績の拡大策を述べる

 同社は「既に取り組んでいる対策」として、手指の消毒やマスクの着用といった感染リスクの低減策のみを記載しておりましたが、これはおそらくどの事業者も実施していることであろうと推測されます。

 つまりこの内容は、他の申請者が記載する内容と差別性を図ることが困難であるということです。補助金の採否は計画書の完成度を競うことですから、少しでも他の申請者よりも内容的に優れている必要があります。

 そこで、リスクの低減策だけでなく業績の拡大策も記載することをお勧めしています。この内容は申請者それぞれ異なることが想定され、オリジナリティがあるケースがほとんどですので差別性を訴求することが可能になります。

 同社の場合は、ネットを活用した販路開拓にかかる費用の一部を当補助金で調達したいわけですから、少なくともそのような構想を練っているという業績の拡大策は記載できたはずです。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>に不採択だった計画書の<経営計画>「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」から、採択を引き寄せるポイントとして(1)求められている内容を述べる、(2)影響を数値で述べる、(3)業績の拡大策を述べる、を挙げました。

 次回のコラムでは<補助事業計画>「2.補助事業の内容」を見ていきますが、同社の事例を紹介した前回までのコラムは以下となります。

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