持続化補助金で店舗改装資金を調達した衣料品店の事例⑦

小規模事業者持続化補助金

 その衣料品店は、創業以来70年以上の業歴を重ね、地域密着型の事業展開をしてこられました。そして、店舗の立地場所近辺には、公共施設や公衆トイレがないことから、衣料品を買いに来られた方以外にも、トイレを借りたいというご要望が多い状況でした。

 ただし、同店のトイレは店舗建設当初からの和式トイレとなっており、不便さを感じる顧客もおりました。そこで今以上に顧客満足度を向上させるために、トイレを洋式に改修するという店舗改装をしたいと考えるようになりました。

 その費用を小規模事業者持続化補助金で調達しようとした同店に対して、弊社は当該補助金における採択可能性を高めるべく、その計画書のブラッシュアップをご支援しました。結果として無事採択されましたが、どのように計画書をブラッシュアップしたのか、複数回にわたってご紹介します。

 第7回目の今回は、下表の赤枠部分、様式2-1<補助事業計画>の「4.補助事業の効果」の書き方について見て行きます。

1.「4.補助事業の効果」の書き方

 同店が事前に当欄に記載された内容は概ね以下のものとなっていました。

  • トイレ改修で、顧客の利便性が向上する他、トイレの順番待ちの時間には、店内の商品をご覧いただける機会が増える。
  • 広い商圏からの集客により、新たな購入者が生まれることで、売上拡大に繋がる。

 これらを以下の手順でブラッシュアップしていきます。

(1)自店以外のメリットを検討する

 同店が述べている「補助事業の効果」は自店における効果に限定されています。ですが、自店における効果を得るためには、顧客における効果が無ければ成り立たないことになります。そこで「顧客の効果」も盛り込む必要があり、具体的には「トイレ不足の地域において安心して買い物ができる」といったことなどが挙げられるかもしれません。

 さらには、補助金を使うということは公的資金を使うということですから、自店や自店の顧客以外に対しても広く効果を及ぼす必要があります。つまり、同店を利用しない方の税金を同店の事業拡大のために使うこともありえるわけですから、そのような方々が納得できるような説明が必要だということです。

 そこで「地域社会の効果」も盛り込む必要があり、具体的には「広い商圏から顧客が来店するため、自店以外の店舗においても購買する機会が増加し、地域経済が潤うことが可能となる」などが挙げられるかもしれません。

(2)数値の根拠はシンプルに記載する

 同店が事前に記載されてこられた内容には、売上が増加する根拠が述べられており、これは非常に良いと思いました。根拠の存在は説得力を向上させますが、それが数値で述べられていれば、主観的な解釈が入り込みにくく、さらに説得力は向上するからです。

 ただし、その根拠となる数値の算出プロセスが非常に複雑であったため、分かりにくい印象を受けました。

 【売上】は【客数】と【客単価】のかけ算で算出されます。よって、それぞれにおいて現状と補助事業実施後で比較対照表を作成すればシンプルかつ分かりやすくなります。

 そして【客数】はトイレ改修による集客効果をどの程度見込むのか、【客単価】は集客効果により買上点数や買上単価の向上をどの程度見込むのかを述べると良いでしょう

 このようにして、「4.補助事業の効果」の取組内容をブラッシュアップしていただきましたが、次回のコラムでは様式3-1「Ⅱ.経費明細表」を見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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