観光地に立地する理容店が実施するべき売上を拡大する成功のカギ

戦略の考え方

お試し価格の意義

 エステサロンや家事代行サービスなど、様々なサービス業で初回限定のお試し価格制度が取り入れられています。
 サービス業は、商品の提供と違って、サービス提供者と顧客の関係性が顧客満足度の大きな決定要因となるため、両者の相性が重要です。顧客は、実際に利用してみないとその相性が判断しにくいため、店舗側としては、初回は大幅な割引価格を用いて、とりあえず利用していただき、2回目以降から正規料金をいただく、という仕組みです。よって、2回目以降の利用が見込めないと、労多くして功少なし、となってしまいます。

観光地に立地する理容店

 私の住む埼玉県川越市は2016年に観光客数が704万人に達した県内有数の観光地です。2003年において観光客数は400万人に届きませんでしたから、この10年強の期間で急速に入込数を伸ばしています。

 特に、蔵づくりの街並みや時の鐘など川越の見どころが集積していると言っても良い場所が「一番街」という通りです。この通りにほど近い場所に、お試し価格を導入している理容店があります。
 この店舗は初回に限り、カットとシャンプーで1,500円、顔剃りを追加しても2,000円と、相場の約半額で施術を受けることが可能です。以前から気になっていた店舗でしたので、先日、散髪に伺ってきました。

観光客は次に繋がらない?

 散髪をしてもらいながら、その理容店の経営者と話をしていたのですが、もともとは、この観光名所から遠く離れた場所に立地していたのですが、縁あってこの地に引っ越してきて20年が経過したとのことでした。

 そして、増加する観光客の中には、最近、観光ついでに散髪をしに来店する顧客もいるのだそうです。確かに観光名所にほど近い立地ですし、観光客の店舗前通行量もそれなりにあるので、頷ける話です。ただし、観光客は初回の来店ですから、お試し価格で散髪を提供しますが、次に繋がらない、と経営者はぼやいていました。

 ここで、川越市発表の資料を見ますと、2017年において川越へ観光に来た方のうち、48.7%がリピーターであることが示されています。であるなら、単純に同店を利用した観光客のうち半分近くは再度来街する、ということが言えるでしょう。集客に苦労する理容店が多い中、これは同店の大きな強みです。

 そこで、「どうせ次に繋がらないから」という理由で、散髪が疎かになっていないか、気にする必要があります。もしかしたら、その意識が次に繋がっていないのかもしれません。
 また、「観光客大歓迎」「歩き疲れたら散髪」といった店頭告知や、フットマッサージといったサービスも一考です。
 さらに、外国人観光客も同店を利用されるということですから、クレジットカード決済の導入などの対応も検討の余地があります。

 観光地に立地する理容店が実施するべき売上を拡大する成功のカギは、その立地をいかに活かすか、という点にあると言えるでしょう。

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